JR東海リニア「名古屋―新大阪」着工時期の矛盾 国がゴリ押し「2037年全線開業」高いハードル

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リニア中央新幹線 亀山 駅予定地 岸田首相
リニア中央新幹線の新駅候補地でボーリング調査現場を視察し、説明を受ける岸田文雄首相(左端)=2024年7月31日、三重県亀山市[代表撮影](写真:時事)
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岸田首相は7月31日、三重県亀山市にあるリニア中央新幹線の駅の候補地を訪れてボーリング調査の現場を視察し、「最速2037年の全線開業という想定時期のもと、駅周辺を含めた町づくりについても国として沿線自治体と連携して支援をしていきたい」と述べた。

6月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太の方針)にも、「全線開業に係る現行の想定時期の下、適切に整備が進むよう、環境・水資源の状況や建設主体の財務状況を厳格にモニタリングし、必要な指導及び技術的支援を行う」との記載がある。

2037年の開業にこだわる三重、奈良、大阪の沿線3府県をはじめ、沿線の都府県で構成するリニア中央新幹線建設促進期成同盟会の要望を受けてのことだが、これが関係者の間で波紋を呼んでいる。

「2027年開業」断念後のスケジュールは?

当初、JR東海が策定したリニア中央新幹線のスケジュールは2027年に品川―名古屋間を先行開業し、その後あらためて名古屋―新大阪間の工事に着手し2045年に全線開業させるというものだった。

2段階に分けて工事を行う理由は健全経営を維持するためである。建設費用は内部留保と金融機関からの借り入れで賄うため、一気に全線で工事を行うと費用が膨らみ、負債が増える。財務面で悪影響が出るかもしれないとJR東海は考えたのだ。

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