JR東海「リニア」、静岡県知事交代でも残る難題3つ プロジェクトを左右する「工期・資金・人材」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
リニア新幹線
リニアは東京―名古屋を最速40分、東京―大阪を最速67分で結ぶ。静岡工区以外のエリアでは工事がすでに始まっている(撮影:尾形文繁)

「知事が交代するからといって、すぐに着工できるわけではない。静岡の問題で見えにくくなっていたが、これから根本的な問題が顕在化してくるだろう」。JR東海のある関係者はそう語る。

リニア中央新幹線の着工に反対してきた、静岡県知事の川勝平太氏が5月9日に辞職した。川勝氏は自然環境などへの影響を理由に静岡工区(全長8.9キロ)のトンネル着工に真っ向から反対していた。これを受けてリニア工事は大幅に遅れ、JR東海は2027年としていた品川―名古屋間の開業を断念した。

川勝氏に代わる新しい知事を選ぶ選挙が5月26日に投開票される。この結果次第で、膠着状態を脱する可能性が出てきた。

JR東海の広報は、「静岡工区の1日でも早い着手に向けて、地域の皆様のご理解とご協力が得られるよう、双方向のコミュニケーションを大切にしながら真摯に取り組んでまいります」とコメント。中央新幹線の早期開業に向けて全力で取り組む姿勢をみせる。

「2037年全線開通」のハードルは高い

ただ、「問題はまだ終わったわけではない」と指摘する関係者は少なくない。実際、JR東海がこの先直面するリニア工事の難題は大きく3つある。

1つ目は工期の問題だ。報道によると、政府は6月にも策定する経済財政運営と改革の基本方針で、リニアの東京―大阪間の全線開通を当初計画通りの「2037年」と明示する方向だ。だが、多くの関係者は「人手不足も続く状況下で、2037年の全線開通はとてもハードルが高い」と語る。

次ページ事前のボーリング調査もほぼ手つかず
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事