「人の命がかかっている」伝説の万引きGメンが忘れられない"限界超えた母"の事件…犯罪の温床になっている"セルフレジ"不正防止の秘策も明かす
この59年かけて築き上げてきた唯一無二の組織を、望月さんは今後、どうしていこうと考えているのでしょうか。「来年で80歳ですからね。もぐらだったら、とっくに死んでる年齢ですよ」と、穏やかに笑います。
彼には、大手航空会社でパイロットを務める息子さんと、ご自身でコーチングの会社を経営する娘さんがいます。2人ともそれぞれの世界で立派に活躍していますが、会社を継ぐ予定はないそうです。
「だから、後継者については3つの道を考えています。1つは、今いる職員の中から育てる。もう1つは、M&Aで我々の理念を理解してくれる会社に託す。そして最後は、私の代で会社を閉じる、という選択肢です」
人の命を左右することもある、この仕事の重み。生半可な覚悟では務まらないことを、誰よりも知っているからこその言葉でした。
「思いやり」こそが争いや犯罪をなくす
最後に、望月さんに座右の銘を尋ねると、迷いのない、力強い言葉が返ってきました。
「『思いやりという心の文化』。これの発信基地に、我々はなるべきなんです。現代はあまりにも生活の利便性を求めすぎた結果、この文化が反比例してしまった。『自分さえよければいい』『我が社さえよければいい』……その考え方が、あらゆる争いや犯罪を生み出してきたんです。それに相反するたったひとつのものが、『思いやり』なんですよ」
それは、幼い子どもを道連れに心中しようとした母親を救い、少年が命を絶つ現場の無念さを知った望月さんだからこそたどり着いた、確かな重みを持つ言葉でした。



















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