「人の命がかかっている」伝説の万引きGメンが忘れられない"限界超えた母"の事件…犯罪の温床になっている"セルフレジ"不正防止の秘策も明かす
どんなに優れた装置ができても、Gメンとしての根幹の哲学は変わりません。それは、「犯人を捕まえて終わり、ではない」ということです。
「捕まえた犯人をただ警察に突き出すだけでは、実はお店にとってマイナスでしかありません。その人は二度と店に来なくなり、やがて競合店で買い物をするようになる。お金(Gメンへの委託費)を使って、ライバル店のお客様を作ってどうするんですか。そんな馬鹿馬鹿しい話はありません」
ゆえに、望月さんが起業したエスピーユニオン・ジャパンが目指すのは、「一度過ちを犯した人を、再び『善良なお客様』としてお店に迎え入れること。そのために必要なのは対話であり、説諭なのだと言います。
伝説の継承者たち。Gメンになるための“素質”とは
取材日、望月さんのオフィスを訪れると、一角で新人研修が行われていました。エスピーユニオン・ジャパンの未来を担う、新しいGメンの卵です。
指導にあたっていたのは、警察のOBだという教育歴3年の篠原修二さん。一人前のGメンになるには、どれくらいの時間が必要なのでしょうか。
「個人差はありますが、大体2〜3年はかかりますね。結局は、とにかく現場の数をこなすしかありません。怪しい人の態度や目つきといった、言葉では説明しきれない機微を見抜けるようになるまで、先輩についてインターンのように学んでいくんです」(篠原さん)
その指導を真剣な眼差しで受けていたのが、この日の研修生、Kさん(36)です。飲食業やスーパーでの勤務経験を経て、この世界に飛び込んだと言います。
「前職のスーパーで、何人か万引きが疑わしいお子さんを見つけた経験があって、この仕事に興味を持ちました。この会社に入ってみて、万引きGメンとしての技術面だけでなく、憲法の一つひとつまでマンツーマンで丁寧に教えていただける環境に、本当に感謝しています。これから一生懸命頑張りたいです」(Kさん)
そう意気込むKさんの隣で、望月さんは「うちの会社は求人を出すと志望者が多いんです」と教えてくれました。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら