「人の命がかかっている」伝説の万引きGメンが忘れられない"限界超えた母"の事件…犯罪の温床になっている"セルフレジ"不正防止の秘策も明かす

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人の命を救うことがある一方で、その逆も起こり得ます。

望月さんにとって、もう1つの忘れられない記憶は、ある中学3年生の男子が命を絶った、後味の悪い事件でした。

「それは私が捕まえた事例ではないのですが……。万引きをした男子生徒に対し、店の責任者が感情的に『これでお前の人生終わりだな』と言い放ってしまった。その子は後日、マンションから飛び降りてしまったんです。遺書があったことで、そのひと言が引き金になったとわかりました」

この1件は、望月さんの心に深く突き刺さりました。

「だから、『万引きGメンは警察のような存在』なんて言われると、私は非常に悲しくなるんです。お店を見張って、悪いヤツを捕まえて……って、そんなに簡単な話じゃない。我々の仕事には、人の命がかかっているんです」

再犯を止められない犯人、巧妙化する手口

もちろん、同情の余地のない悪質な犯行も数えきれないほど見てきました。

「高価ではないお菓子ばかりを盗み、7回捕まえた小学校の女性教師。彼女は窃盗症(クレプトマニア)だったのでしょうね。あるいは、1個3800円するタラバガニの高級缶詰だけを狙い、8回も摘発した女性もいました」

こうした記憶に残る万引き犯がいる一方で、犯行の手口そのものもテクノロジーの進化と共に巧妙化。最近では、私たちも利用する機会が増えた“あの場所”が新たな温床になっているそうです。

望月さん
「犯罪がなくならず、実に悩ましいことです」と望月さん(撮影/今井康一)
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