「ホストでも酒を飲まず、営業後にランニング」 「母からは絶縁され…」《現役ホストのプロボクサー(31歳)》超ストイックで"数奇な人生"

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こんな出来事もあった。父親のはからいで、母親と約7年ぶりに再会することになったのだ。

母親は、大和さんがホストをしていることを知らない。事前に父親から「打ち明けたら?」と提案され、気は進まなかったが、再会したときに思い切って告白。すると1週間後、母から手紙が届いた。開くとそこには、

「今後は私たちに関わらないでほしい、といった内容が書かれてました。詳細は伏せますが、ホストへのイメージがとんでもなく悪かったみたいで、無茶苦茶な内容でした(苦笑)。僕が何かを説明したとしても伝わる人ではないので、仕方ないなっていう感じです」

感動的な和解が待っているかと思いきや、まさかの展開である。だが世の中は美談だけではない。これもれっきとしたドキュメンタリー。それでも大和さんは、自分の人生を歩んでいくだけだ。

大和総支配人さん
ホストのときの姿からは想像できない筋骨隆々とした肉体美(写真:梅谷秀司撮影)

いずれは父のいる京都へ戻りたい

歌舞伎町の横顔連載
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現在、31歳。ボクサーとしての現役生活があまり長くないと自覚し、引退後のことも思い描いている。

「70歳を過ぎた父親が、いまも京都で1人で住んでいるんです。ボクシングを引退したら、京都に帰ろうと思います。そして男の子が働けるバーを開きたいですね。僕はホストで人生が好転したので、(夢を持つ若者たちが)働ける場所になればうれしいし、ビジネスとしても成功させられたらと思います」

真剣にスポーツに向き合いたいと、新卒9カ月で会社を辞めた。安定した生活を失った代わりに、唯一無二の人生を送っている。ジムでの練習中、大和さんの体から噴き出す汗が、やたら眩しく見えた。

大和総支配人さん
今日もストイックな1日が幕をあける(写真:梅谷秀司撮影)
肥沼 和之 フリーライター・ジャーナリスト

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こえぬま かずゆき / Kazuyuki Koenuma

1980年東京生まれ。大学中退後、広告代理店勤務を経てフリーのジャーナリストに。

社会問題や人物ルポ、歌舞伎町や夜の街を題材に執筆。陽が当たりづらい世界・偏見を持たれやすい世界で生きる人々や、そこで生じている問題に着目した記事を書くことを使命としている

著書に『炎上系ユーチューバー 過激動画が生み出すカネと信者』など。新宿ゴールデン街「プチ文壇バー月に吠える」、四谷荒木町「ブックバーひらづみ」の店主でもある。

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