「世界最大級の"超マニアック"博物館」《国立民族学博物館》の"展示されていない33万5000点資料"を狙う者の正体

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一方で、

みんぱく? 何それ?

と、その存在をまったく知らない人が多いのもまた、民博の特徴である。

みんぱく? 何それ、泊まれるの?

と勘違いする人はあとを絶たないし、「みんぱく」とキーボードに打ち込んで「民泊」ではなく「民博」が先に出るようになるまでには、それなりの時間がかかるだろう。

好きな人にとってはたまらないパラダイス。なのに意外と知られていない。訪れる人も、なかにいる人たちも変わり者。変わり者たちの秘密基地。

大阪に生まれ育ち、遠足でも、大人になってからも、何度も通ってきた民博だが、いままで何度訪れても、その舞台裏はほとんど見えてこなかった。そしてそのわからなさに惹きつけられてきた。

展示の背景には人が、いる。

誰がいる? 何してる?

市井のいち民博ファンとして、その人たちの素顔にずっと興味を持ってきた。

だから、物ではなく、人。民博の人たちにフォーカスする。民博の人たちのことをお伝えする。

国立民族学博物館
常設展示されている中央・北アジアの資料。「『中央アジア』『モンゴル』『シベリア・極北』の3つの地域に生きる人びとの今を紹介」しているという(写真:国立民族学博物館提供)

残り約33万5000点の資料はどこへ?

民博は2025年3月31日現在で約34万7000点もの標本資料を収蔵している。本館の常設展示で見ることができるのは、そのうちの約1万2000点。驚くことに、あれ(展示場の導線、つまり歩行距離にして全長約5キロ)で、ほんのごく一部でしかないのである。

では展示されていない、残り約33万5000点の資料はいったいどこにしまわれているのか?

どこかよその土地にアマゾンばりの巨大倉庫でもあるのだろうか?

「民博の資料は全部、収蔵庫というところにしまってあるんですよ。ぼくもほとんど行ったことないんですけど。今日は特別に保存科学が専門の末森薫さんが収蔵庫を案内してくれるそうなんで、行ってみましょう」

収蔵庫?

図書館でいうところの閉架書庫みたいなやつですか!

民博に長年勤める、教授で『月刊みんぱく』編集長の樫永真佐夫先生でさえ数回しか行ったことがないという、まさに博物館のバックヤードだ。お化けとか、出ませんよね?

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