「世界最大級の"超マニアック"博物館」《国立民族学博物館》の"展示されていない33万5000点資料"を狙う者の正体

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民博は広い。敷地面積4万821平方メートル、建築面積1万8177平方メートル、延床面積5万2648平方メートルもある。と言われても、まったくピンと来ないだろう。これはたとえると、ほぼ東京ドームの広大な敷地に、一般的なサイズの小学校校舎10棟分以上の展示・研究スペースを持つサイズ感だ。

しかし、この敷地のどこに33万5000点ものブツを収納しているのかというと、開館当時からある建物の1階と増築した建物にある収蔵庫、そして、外にある船専用の多機能資料保管庫である。

資料を食う虫を退治せよ

迎えに来てくれた末森先生にいざなわれて、エレベーターで1階へ向かう。守衛室横の通路を歩いていく。すると突然、その場所はあった。天井の高い広い倉庫のような空間、両脇にはブツを運ぶためらしきワゴンが何台も置いてある。内部を外と遮るシャッターは下りた状態だ。大型トラックが入れるほどの大きなシャッターである。

末森先生が、熟練ツアーガイドのように淀みなく解説をはじめた(※民博には基本、収蔵庫を案内するツアーの類はない)。

「ここは、荷解梱包室と呼ばれる収蔵庫の前室です。あのシャッターが開いて、外から資料が搬入されてきます。シャッターをよく見てもらうとわかるんですが、シャッターの内側には網が設置されています」

たしかに。とても目の細かい大きな網戸がある。

「網は害虫の侵入を防ぐために設置したんです。民博では年に4回、トラップ調査を実施しています。罠を仕掛けて虫を捕獲し、その種類や数を把握する調査です。その結果、入り口に近い場所ほど虫が捕獲されやすいことがわかってきました。シャッターはけっこう開け閉めに時間がかかってしまうんです。するとハエだとか飛来する虫が入ってきちゃうんですね。だから簡易的にでも虫が入りにくくするために網戸を設置したんです」

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