《イチからわかる》「人口が増えれば必ず経済成長」? インド経済の意外な"落とし穴"を国際情勢アナリストが解説

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先生 さらに欲を言えば、単純労働ではなく、できる限り「高い付加価値」を生み出す産業が発展し、多くの労働者を吸収することが望ましいです。

カギを握るのは「製造業」

陽菜 具体的にどんな産業がよいのでしょうか?

先生 一言で言えば「製造業」です。製造業は、工場などの設備を活用しているので、一人が生み出すことのできる付加価値が比較的高くなります。

一方でサービス業は、多くの労働者を雇いますが、人の力に依存するところが大きいので、金融などの一部の業種を除き、付加価値は低くなりがちです。

現在のインドの一人当たりGDPは、2700ドル(40万5000円)程度です。この発展段階にある国では、高い付加価値を生み出すことができる製造業の発展が、今後の高成長のカギになります。また、そのための投資、すなわち資本の増加自体が経済成長を強く促します。

陽菜 インドでは、製造業が発展しているのでしょうか?

先生 その点はやや心配です。例えば、中国の「GDPに占める製造業の割合(世界銀行)」は、今でも25%くらいありますが、インドの製造業は13%程度で伸び悩んでいます

これから、どれだけ製造業を増やし、豊富な労働力を効果的に経済成長に活かしていけるかが大きな課題です。

インド政府の産業政策、言い換えれば、政治力が大いに試されますので、その点にも注目してください。

武居 秀典 国際情勢アナリスト

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たけい・ひでのり / Takei Hidenori

一橋大学卒業。三菱商事で主に調査・分析業務に従事。調査部長や北京現地法人社長を歴任。
ロンドン、ニューヨーク、北京などに計14年間駐在。
2023年同社退職後、企業向けアドバイザーや研修講師などを務める。

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