《イチからわかる》「人口が増えれば必ず経済成長」? インド経済の意外な"落とし穴"を国際情勢アナリストが解説
先生 人口増が経済成長を促すのは、主に働く年齢の人口(生産年齢人口)が増えるからです。この生産年齢人口が増え、経済成長にプラスに働く時期のことを「人口ボーナス」期と呼びます。
陽菜 この人口ボーナス期は、いつやってくるのでしょうか?
先生 時期も、期間の長さも、国によって異なりますが、ある国が中期的に大きく成長する、または成長が減速する場合はたいてい、この人口ボーナス期が関係しています。
「人口ボーナス」が後押しした中国の急成長
陽菜 なるほど。こうしたことが、わかりやすい国はありますか?
先生 それでは、中国を取り上げて見てみましょう。

先生 人口ボーナス期の定義や算出方法はいくつかありますが、厳密な定義では、中国の人口ボーナス期は1993年から2010年までの18年間でした。この間中国は、ときには10%を超える高成長を達成しました。
陽菜 たしかに高成長期と人口ボーナス期が一致しているわけですね。でも中国の人口ボーナス期って、かなり前に終わっているのですね。人口は今でも増え続けているものだと思っていました。
先生 中国の総人口は、2021年をピークに減少に転じています。生産年齢人口は、それよりも早く、2016年から減りはじめています。
陽菜 意外と前から人口が減っているんですね。そんなイメージはまったくありませんでした。
先生 中国は、人口ボーナス期を非常にうまく活かして、10%を超えるような高成長を達成しました。ですが最近の中国は、5%の成長がやっとです。これは人口ボーナス期が終わったことが大きく影響しています。
陽菜 生産年齢人口が減少に転じたためですね。
先生 はい。また、人口ボーナス期には、増える労働力を活かすために、かなりの投資が行われました。すなわち、資本が大きく増加したわけです。
人口ボーナス期が終了すると、こうした資本の増加率も徐々に緩やかになって、成長率低下につながっていきます。
陽菜 ということは中国の成長率は、これからも落ちていくのでしょうか?
先生 少なくとも、中国の生産年齢人口の減少は今後も続くので、労働力の増加が経済成長を主導する、ということは期待できません。





 
         
         
         
        
       
           
           
          
         
          
         
         
         
         
        












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