《イチからわかる》米国が"世界最強"の理由は「国土」にあり! 商社の「インテリジェンス部門」で30年活躍した情報分析のプロが解説
陽菜 やっぱり大きいことはいいことなのですね。そう考えると、広いのは、ロシアやカナダ、米国、中国、といったところですね。
中国・ロシアの国土は広いが…
先生 では、いちばん広いロシアから見ていきましょう。広さ以外で、ロシアの国土の特徴はなんでしょうか?
陽菜 北のほうにあるから、寒そうですね。
先生 その「寒い」は、地理的条件として非常に重要です。ロシアには広い平野はありますが、そのほとんどは寒すぎて農業には適していません。また、海に面してはいますが、北は北極海で、氷に閉ざされがちですし、東西の大洋への出口も狭いです。
陽菜 ロシアは国土が広くても、残念な点が多いのですね。
先生 はい。ロシアの人口はヨーロッパ寄りの西側に集中していて、中央から東の広大なシベリアなどは未開発です。資源は豊富ですが、気候の問題もあって、広い国土をじゅうぶんに活かしきれていません。
ただ、ロシアが国際社会で存在感があるのは、この広大な国土が大きな要因の1つです。
陽菜 そのロシアに比べると、中国はもう少し南にあって、暖かそうですね。広い平野や大きな川もあるので、なんとなくよさそうです。
先生 中国は、国土の西側に広大な砂漠地帯が広がっています。一方で、中央から東の太平洋まで、黄河と揚子江という大きな川を中心に、肥沃な地帯が広がっていて、農業生産も盛んです。
では、中国の周辺はどんな状況でしょうか?
陽菜 結構、多くの国に囲まれていますね。
先生 中国が直接国境を接している国は全部で14カ国もあります。すべてが敵ではありませんが、国境の防衛は簡単ではありません。
陽菜 でも、海には広く面しているので、その点は強みですね。
先生 いえいえ、そうとも言えません。
陽菜 えっ、どうしてですか? 海に面していると貿易にも便利だし、攻められにくいということでしたよね。
先生 たしかに中国は東側で広く太平洋に面しています。ですがすぐ近くに、日本などいくつかの国があって、海上ではなかなか自由に動けません。こうした地理的な弱点は、中国の外交や軍事の戦略に大きな影響を与えています。
では、最後に米国はどうでしょうか?


















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