美しいものは、なぜ美しいのか…「軽度認知障害」とともに生きる山本學が気づいた【観察の効能】

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朝田 おっしゃるとおりです。年齢に関係なく、心や知能の健康のためには、まず観察という姿勢が不可欠です。そして観察においては、いわゆる常識とか、固定観念から離れた方向へ感覚を向けてみることが欠かせません。

これが、ある意味で脳トレになり、心をリラックスさせ、感覚の柔軟性を保つことにもつながっていくんですね。

伝えようとする「意思」を持つことが大事

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山本 周囲の人から、「學さん、どうしたら認知症にならないで済むの」って聞かれるんだけど、そんなとき、こんなふうに答えます。

「とにかくものをよく見て、こういうもんじゃないかと言葉にして、相手に伝えなさい。伝えようとする意思を持つことが大事ですよ」と。

朝田 五感、特に目をフルに使って、その中から何かを見つける。観察するだけではなく、それを言葉にして周囲に伝える。これは社会性を保ち、認知症の進行を鈍化させるのに欠かせない、とても大事なことですよ。

山本 そう。言葉にすることも大事ですね。観察することはもちろんだけど、見るだけで人に伝えなければ、ただ見て好きか嫌いかだけで終わってしまいますから。

朝田 ものを見るということから始まって、本質的な部分にまで話が広がりましたね。とても面白かったです。

山本 いやいや、ちょっと説教くさくなっちゃったかな。

山本 學 俳優

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やまもと がく / Gaku Yamamoto

1937年大阪府生まれ、東京育ち。俳優座養成所を経て、1957年に「裸の町」で映画デビュー。その後、『愛と死を見つめて』(TBS)、『天と地と』『八代将軍吉宗』(NHK)などのテレビドラマや映画、舞台で幅広く活躍。1978年の『白い巨塔』(フジテレビ)で演じた内科医・里見脩二役は代表作のひとつ。1993年には、第18回菊田一夫演劇賞を受賞。

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朝田 隆 メモリークリニックお茶の水理事長・院長

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あさだ たかし / Takashi Asada

認知症の早期発見・早期治療に特化した「メモリークリニックお茶の水」理事長・院長。東京医科歯科大学特任教授。筑波大学名誉教授。医学博士。1955年島根県生まれ。1982年東京医科歯科大学医学部卒業。40年以上にわたり、2万人を超える認知症、および、その予備群である軽度認知障害(MCI=グレーゾーン)の治療に従事。認知症予防&治療の第一人者として診察にあたる傍ら、テレビや新聞、雑誌などで認知症の理解や予防への啓発活動を続けている。

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