「胃がん」「前立腺がん」そして「軽度認知障害」…山本學が抱える【自身の病気を語ること】への葛藤
朝田 その女性は何と?
山本 「私は外科医ですけど、先生のような偽善的な医師は嫌いです。先生のように検査、検査では、患者の多い大きな病院では務まりません。財前先生のように患者のレントゲンを見て即断して先へ進まなければ、大病院の患者はさばけないんです。
里見先生がいい人であることはわかりますけど、私は医師として支持しません」と言い放ったんです。
そして「お先に」と注文したカレーをさっさと食べて、「失礼しました」と白衣を翻して去っていきました。僕は呆然と見送りました。
朝田 ドラマチックですね。おそらくその方は、「技術派」の医師だったのでしょう。症状や病状を現象として捉えて、技術をもってその解決を迅速に行う。それが最善である、と。
先ほどお話しした、患者さんが医師に求める2つのことを、これほどわかりやすく視覚化される経験は、本物の医師でも滅多にあることではありません。良い経験をされて、ますます医師役が身についたと思います。
一方で學さんは、患者としてもいろいろな病気を経験されていますね。
自分の病気の話をすることも意味があるのかな
山本 最初の胃がんは3分の2を切除、次は前立腺がんでホルモン治療、幻視症状から先生の診断による軽度認知障害(MCI)ですから、「国民的病(やまい)」を順番に経験しています。
僕は病気を売り物にしたくはないので、今のあり方に「これでいいのか」という葛藤はあります。
でも、「學さんが言ってるんだから」と家族に説得されて認知症であると認めるようになった、「學さんもやってるんだから」とリハビリを始めた、なんて話を耳にすると、自分のことを話す意味もあるのかな、とも思います。
朝田 実際に体験された方が前を向き、同じ立場の方々に向けて思いきりよく話しかけておられる姿には、私も深く敬意を抱いております。
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