北京モーターショーでも鼻息荒い独フォルクスワーゲン、中国で快走する理由

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中国におけるVWは、車種・地域の広がりで他社を圧倒する。ブランドの多様性はもちろん、「VW」ブランドひとつ見ても、240万元(約3120万円)する輸入車「フェイトン」から、約7万元(約91万円)という大衆車「サンタナ」まで幅広い。中国専用車「ラヴィーダ」は、導入からわずか3年半で販売台数70万台を突破した。今年はボディデザインを一新したラヴィーダの新型車を投入する。

4月23日から5月2日まで開かれた北京モーターショー。VWはそのラヴィーダや「ザ・ビートル」の電気自動車などを披露した。一方では、“時代遅れ”ともいえる排気量3リットル・V6エンジンを搭載した「CC3.0 V6」なども発表。VWは中国でことさら技術をアピールするつもりはないようだ。技術ありきではなく、市場ニーズに合った車を投入する。トヨタ自動車が次世代ハイブリッド車(HV)「双�(ショワンチン)」を公開し、中国での起死回生策としてHVを前面に出したのとは対照的だ。



■上海VWが発表した新型「ラヴィーダ」。VWの最新のデザインを採用している


■「ビートル」のEV(モデル名:Eバグスター)。85キロワットの電動モーターを搭載した2シーター。アジア初公開


■一汽VWが発表した「CC3.0 V6」。CCのスポーツモデルの位置づけ。6速のデュアルクラッチギアボックスと組み合わされる

地域的な広がりでもライバルたちの先頭を走る。「GO SOUTH」から「GO WEST」へ--。もともと中国の北部と東部に地盤を持つVWは、08年から南下政策を進めてきた。販売拠点を拡充し、13年に広東省の佛山、14年には浙江省の寧波に新工場が稼働する。そして次は“西”だ。

北京モーターショーの最中、VWグループを率いるマルチン・ヴィンターコーン社長はドイツにいた。ウォルフスブルクの本社工場で中国の温家宝首相を迎えるためだ。VWは合弁相手の上海汽車と新彊ウイグル自治区のウルムチに新工場を設立する。温首相はその調印式に立ち会った。

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