思考力が低下、もの忘れが加速。なぜ人間の脳は「スマホ見ながら休憩」ができないか

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息抜きのつもりでスマホを眺めていたら、かえって疲れてしまった経験はありませんか?(写真:nonpii/PIXTA)
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忙しくもないのになぜか疲れている。そう感じることはありませんか?
「休養学」の提唱者で、日本リカバリー協会代表理事である片野秀樹氏によれば、無意識のうちにやっている「疲れやすい習慣」に原因があるのかもしれません。
片野氏がこのほど上梓した『疲労学』では、疲れを抑える「抑疲労(よくひろう)」の視点から、「行動」「思考」「食事」で疲れにくい体をつくる秘訣を紹介します。
最近よく耳にする「脳疲労」、すなわち脳への負荷はどうやって抑えることができるのか。本書から抜粋・編集してお届けします。

脳もオーバートレーニング状態に陥る

人間は、集中(ワーキングメモリ・ネットワーク)とぼんやり(デフォルトモード・ネットワーク)を繰り返しながら生きています。

もし、集中ばかりしていて、ワーキングメモリ一辺倒になるとどうなるでしょうか。

第2章で、肉体的な機能を高める「超回復」についてご説明しましたね。一定の負荷をかけたあとには必要な休養時間をしっかりとることで活動能力が上昇するという話です。

疲労学
(出典)『疲労学』第2章より「超回復理論とオーバートレーニング症候群」
疲労学: 毎日がんばるあなたのための
『疲労学: 毎日がんばるあなたのための』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

休養をとらずに活動を続けると、むしろ活動能力が低下するオーバートレーニングの状態になってしまうのもご理解いただけたと思います。

脳も同じです。ワーキングメモリを酷使しすぎると、重い負荷がかかり、オーバートレーニングと同じ状態に陥ってしまいます。

脳は全身の酸素消費量の約20%を占めているといわれ、大量の酸素を必要とします。

何らかの原因で脳に酸素が行かなくなると、1分で神経細胞の破壊が始まり、5分で脳細胞が死んでしまうといわれています。

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