思考力が低下、もの忘れが加速。なぜ人間の脳は「スマホ見ながら休憩」ができないか

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大量の文字や情報が流れ込んでくるのに変わりはありませんから、やはりワーキングメモリはフル回転しているのです。

自分では休んでいるつもりでも、これでは脳は全然休めていません。言ってみれば、私たちの脳は四六時中オーバーフロー状態なのです。

パソコンやスマホの使いすぎによるこうした脳の疲れを抑制するには、意識してワーキングメモリのスイッチをオフにして、デフォルトモードに切り替える必要があります。

集中した状態からいったん離れ、ぼーっとすることで脳の疲労から回復を図るのです。リラックスして感情も安定し、脳を休められます。

「よし、これからぼんやり、のんびりしよう」と決めたら、何はともあれスマホやパソコンはオフにしてください。

目は閉じるか、窓から外の景色を眺めるとか、壁にかけた絵に目をやる程度にとどめます。

ただし、ぼーっとしているからといって、頭がからっぽになっているとか、脳の活動が停止しているわけではありません。

デフォルトモード時に情報が整理整頓される

実は、デフォルトモードが活性化しているとき、頭の中の情報処理能力は普段より向上しています。

それまでに入力された情報のいる・いらないを取捨選択し、すっきり整理整頓してくれているのです。

ちょっと意外かもしれませんが、デフォルトモード時のほうが、ワーキングメモリ時よりたくさんのエネルギーを使うともいわれています。

しかも、デフォルト(基本的な状態)の名の通り、ワーキングメモリがフル稼働している間や寝ている間も、静かに活動は続いていると考えられています。

基礎代謝といって、人間は生命維持に必要最低限のエネルギーをつねに消費していますが、デフォルトモードも同じようなイメージです。

もちろん、ぼんやりしているときは肉体的な活動はほぼ止まっているはずですから、その間にエネルギーの消費を抑制し、産生する時間にあてられるでしょう。

片野 秀樹 博士(医学)、日本リカバリー協会代表理事

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かたの ひでき / Hideki Katano

東海大学健康科学部研究員、東海大学医学部研究員、日本体育大学体育学部研究員、特定国立研究開発法人理化学研究所客員研究員を経て、現在は一般財団法人博慈会老人病研究所客員研究員、一般社団法人日本未病総合研究所未病公認講師(休養学)、一般社団法人日本疲労学会評議員も務める。日本リカバリー協会では、休養に関する社会の不理解解消やリテラシー向上を目指した啓発活動や、休養士の育成活動に取り組んでいる。編著書に『休養学基礎:疲労を防ぐ!健康指導に活かす』(共編著、メディカ出版)、著書に『休養学』『疲労学』(東洋経済新報社)、『マンガでわかる休養学 最高のパフォーマンスを生む休み方』(KADOKAWA)など。

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