1分で2000個完売!「人気ベーグル屋」営む"夫婦の正体"。自宅でベーグル作りを独学で習得→店を開くも1日4人しか客が来ず…。逆転人生を聞いた

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このタイミングでの撤退は惜しい。深田夫妻は、どういうこと? と不思議に感じつつ、営業を続ける道を選んだ。1月も売り上げ好調で、迎えた2月。新型コロナウイルスのパンデミックが本格化し、出社や外食を避けて自宅で食事をする人たちが増え始めた頃、初めて店頭にお客さんが並んだ。それから、日常的に行列ができるようになった。

それは深田夫妻にとって急激な変化だったが、上昇気流を逃さなかった。それまでオマケ的な位置づけで緩やかに運用していたオンライン通販を、本格的に稼働させたのだ。

2020年3月、8個セット(1900円/税抜き)、12個セット(2900円/税抜き)、プレーン12個セット(1760円/税抜き)の3セットを用意し、インスタに初めてしっかりとオンライン通販の告知を出した。これがコロナ禍に「3密」を避けて自宅の食事を充実させようという人たちに刺さり、注文が急増する。

同じように、コロナ禍の「おうちごはん」でテイクアウトや通販の売り上げを伸ばしたお店は少なくないだろう。しかし、1、2年で失速してしまったところも多いはずだ。アカシアベーグルは、むしろ勢いを増した。キーワードは「僕らも、楽しくやろう!」。

『禁断のあんバターサンド』がバズる

ベーグル
個性豊かなベーグルでファンを増やす(筆者撮影)

「プレーンのベーグルであんことバターを挟んだ商品があったんです。ある日、店頭に買いに来てくれたお客さんから『塩バターベーグルで挟んでほしい』というリクエストがありました。それを作ってみた時に、インスタ上でお客さんから『禁断のってつけるのがいいんじゃないですか?』とコメントがあって、『禁断のあんバターサンド』とネーミングしたら、バズりました」(深田さん)

あんバター
禁断のあんバターサンド(画像:アカシアベーグル提供)

「私は最初、塩バターベーグルにさらにあんことバターを挟むって、どうなのかって思ったんです。すごいカロリーになるし、大丈夫かなって。でも、この背徳感がいいんでしょうね(笑)。今では看板商品です」(絹子さん)

この「背徳感」とお客さんとのコミュニケーションが、さらなる飛躍のカギを握る。絹子さんはこの後、次々と斬新なベーグルを考え出した。

例えば、「禁断のベーグル・オ・ショコラ」は、塩バターベーグルにバターと板チョコを挟み込んでいる。カロリーや糖分を気にしていたら食べられないこのベーグルのレポートをしているあるインスタの投稿には、294個の「いいね!」がついていた。

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