その子どもは本当に「ただの勉強嫌い」? フリースクールで視力や学習障害が見つかることも

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窪田:フリースクールのほうが肌に合い、可能性を広げることができる子どもも一定数いると思います。

白井:15歳になるまでほぼ学校に行けず、ひらがなも書けなかった子どもがいました。親も心配だったでしょうが、いちばん困っていたのはもちろん本人だっただろうと思います。でもフリースクールに来るようになって、自分のペースで学べる環境の中では、まるでスポンジが水を吸収するかのように知識を身に付けていきました。今はお花を育てる花卉農家になって、私よりも稼いで大活躍していますよ(笑)。

窪田:勉強への拒否感の理由に、目の見えにくさが隠れている子どももいます。しかし本人も親もそれに気付いていないので、「ただの勉強嫌い」だと思われてしまうケースもありますね。

フリースクールが広げる可能性

白井:ディスレクシアなどのLD(学習障害)が注目されるようになったのも比較的最近ですからね。子どもが困っている理由が究明されないまま、みんなについていけなくなればそこで学びの機会が失われてしまう。一斉授業の弊害で、学びの機会を逸している子どもも少なくないと思います。でも、フリースクールはまさに、一人ひとりの個別最適のあり方を探せる場所です。実際にこの過程で、LDや視力障害など、勉強への意欲を阻んでいたものが発見されることもあります。

できることはまだたくさんあると考えていますが、フリースクールでも受け入れ側がいっぱいいっぱいなのが実情です。今はとにかく、家でも学校でもない子どもたちの「第三の居場所」を確保して、多様な経験ができる入り口を増やすことを目指しています。

(構成:鈴木絢子)

白井 智子 社会起業家

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しらい ともこ / Tomoko Shirai

1972年千葉県生まれ。4~8歳までオーストラリア・シドニーで過ごす。1995年東京大学法学部卒業。同年、松下政経塾に入塾し、教育改革をテーマに国内外の教育現場を調査。内閣府や文部科学省の委員などを歴任した後、現在は株式会社こども政策シンクタンクの代表取締役をはじめ、さまざまな団体の要職を務める。近著に『脱「学校」論:誰も取り残されない教育をつくる』(PLANETS/第二次惑星開発委員会)がある。

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窪田 良 医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO

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くぼた りょう / Ryo Kubota

慶應義塾大学医学部卒業。慶應大医学部客員教授、米NASA HRP研究代表者、米シンクタンクNBR理事などを歴任。虎の門病院勤務を経て米ワシントン大学助教授。2002年創薬ベンチャー・アキュセラを創業。2016年窪田製薬ホールディングスを設立し、本社を日本に移転。アキュセラを完全子会社とし、東証マザーズに再上場。「エミクススタト塩酸塩」においてスターガルト病および糖尿病網膜症への適応を目指し、米FDAからの研究費を獲得し研究開発を進めているほか、在宅医療モニタリングデバイスや、ウェアラブル近視デバイスの研究開発を行っている。

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