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〈インタビュー〉凸版から分離「半導体フォトマスク」上場後の野望…東証プライム市場に今年2番目の大型上場、AI一色の半導体業界で描く成長戦略

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分社化前までTOPPANは60年以上にわたってフォトマスク事業を展開、2005年にはデュポンフォトマスクを完全子会社化するなど国内外で展開してきた(撮影:梅谷秀司)
10月16日、半導体用フォトマスクメーカーのテクセンドフォトマスクが東証プライム市場に上場する。公開価格ベースでの想定時価総額は約3000億円と、今年のIPO(新規株式公開)ではJX金属の上場時の時価総額約7800億円に次ぐ大型案件だ。
テクセンドは2022年、TOPPANホールディングスのフォトマスク事業を承継して誕生した。同社が50.1%、インテグラルが49.9%を出資する。
同社は半導体チップに回路を描く際に使われる原版となる「フォトマスク」の専業メーカー。ファウンドリー(半導体製造受託企業)や半導体メーカーを主な顧客とする外販メーカーとしては、世界シェア40%のトップ企業だ。
半導体の微細化トレンドが続きフォトマスク市場は拡大傾向にある一方で、足元では自動車や産業機械向けに強い半導体メーカー向けが苦戦。さらに売上高の約3割を占める中国で現地メーカーが台頭し、26年3月期は10%の営業減益を見込む。
半導体銘柄への注目はAI一色に染まりつつある中で、今後の成長をどう描くのか。分社化前から半導体事業を率いる二ノ宮照雄社長兼CEOに聞いた。

「外販」でトップシェア

――フォトマスク市場について教えてください。

フォトマスク市場は「内作」が63%を占め、残りが「外販」に分かれている。外販市場で、テクセンドフォトマスクはシェア約40%のトップだ。

内作というのは、半導体メーカーが自社内で製造するマスクのこと。韓国のサムスン電子、台湾のTSMC、アメリカのインテルといったロジック半導体メーカーや、マイクロン、SKハイニックスといったメモリーメーカーは自社内にマスクを製造する部門(マスクショップ)を持っている。

残り37%の外販市場の主な顧客は、マスクショップを持たないファウンドリー(半導体製造受託企業)や、アナログやパワー半導体を手がける半導体メーカーだ。

――大手企業はフォトマスクを内製化しているということですが、テクセンドがターゲットにしている外販マスク市場の状況は?

かつては半導体の設計から製造まで自社内のみで完結するモデルが主流だったが、現在は設計のみを行うファブレスと、製造のみを受託するファウンドリーという分業体制が進んだ。

その流れの中で、マスクを内製化しないファウンドリーが増えたことで外販需要が増加し、2016年頃から市場が拡大している。

今後、微細化が進むことで付加価値の高いマスク需要が増える。年平均8%後半の市場成長が見込まれている。

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