また、契約書には休日は「1週間に1日以上取得」との旨が記載されていたにもかかわらず、アヤさんは期間中1日も休むことができなかった。
「28日連続で働きました。忙しすぎて休みを取れる状況ではありませんでした」

理不尽にもみえるが、ただちに違法とはいえない。なぜか。それは、アヤさんが雇用契約を結んだ「労働者」ではなく、業務委託契約を結んだ「フリーランス」だったからだ。
労働者とフリーランスの違いは?
労働者とフリーランスの違いは何か。
労働者は会社と雇用契約を結び、その指揮命令を受けて働く。割増賃金や法定休日、最低賃金、残業時間などについて規定・規制した労働関連法の保護を受けることができ、報酬は労務提供の対価として支払われる。
一方、フリーランスは請負契約などの業務委託契約を結び、ある程度自由な裁量の下で発注された仕事をこなす。労働関連法の保護は及ばない。報酬は仕事の出来高次第で、“成果物”の納品により払われることもある。
そして、まるで労働者のような働き方をしているにもかかわらず、フリーランスとして扱われる人のことを「偽装フリーランス」「名ばかり個人事業主」という。なかには、労働関連法上の責任を免れるために請負契約を濫用する悪質な会社もある。
偽装フリーランスの横行は、働き手のセーフティネットを奪うだけでなく、「同一労働同一賃金」の実現を阻み、不合理な待遇格差を広げかねない深刻な社会問題でもある。
後日、アヤさんの元に届いた報酬の振り込みを示す書面には「給与明細」とあった。給与とは本来労働者に支払われるものだ。アヤさんは「実態は労働者なのに、働かせ放題にするために業務委託にしたのでは」と不信感を募らせる。
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