「100人を3人でお世話」「28日間休みなし」非正規労働者の女性(44)が明かす"業務委託"の実態…「偽装フリーランス」との専門家の指摘も

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「今夜のオープニングレセプションの後は直接ホテルに戻るんですか?」

「(新型コロナウイルスの感染疑いのある参加者の)検査をしましょうか」

朝7時すぎ、アヤさんのスマホのメッセージアプリには、参加者や主催団体の職員からの質問、指示が続々と届く。これらに対応しつつ、会場となっているコンサートホールに向かう 。ホールでは日程表などの掲示や、マシンで大量のコーヒーを入れることが日課だ。

そのほかに昼食用の弁当や飲料の運搬、ごみの分別片づけ、いすやテーブルのセッティング、スポンサー企業向けの動画や写真の撮影など。毎日のミーティングでは、演奏会場に引率する際の時間や待機場所を細かく指示される。

加えて楽器修理店や病院への同行など必要に応じでそれぞれの参加者をサポートする。「参加者のお世話係と雑用全般。業務マニュアルもありました」とアヤさんは語る。

夕方からの演奏会を終え、 ホテルに戻るのが夜10時すぎになることも珍しくなかった。急きょ決まった授業の参加者名簿を、「一晩かけて作ってください」と指示されたこともある。仕事をこなすかたわら、スマホには深夜までメッセージが届き続けた。

求人や契約内容との乖離に愕然

音楽祭は、地元自体体も出資する財団法人の主催。30年以上の歴史があり、夏の風物詩として市民にも親しまれてきた。求人の応募資格には「英検準1級以上、あるいはTOEIC750点以上」とあり、英語が堪能なアヤさんは応募を決めたという。

ところが、いざ働いてみると求人や契約書の内容との乖離に愕然とした。

まず、求人には「実働1日8時間程度」とあったが、メッセージへの対応業務を含めると、実際は13~14時間。事実上の時間外や深夜労働であり、日給1万5000円とはいえ、時給換算すると最低賃金を下回った。

アヤさんが応募した求人。英語に関する資格こそ必要だが、業務として飲料の運搬やイスのセッティングなどが挙げられている。わざわざフリーランスに委託すべき仕事といえるのだろうか(画像:アヤさん提供)※一部加工しています
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