ラグビー日本代表人気を支えた「影の立役者」 「五郎丸?え、船ですか?」時代を超えて
ーー渡辺さんはディレクター時代も入れると、もう7年、ラグビーを追いかけているわけですが、この間の日本におけるラグビー環境は、プロ野球やサッカーの日本代表ほど恵まれていなかったと思います。でも、南アフリカ戦の勝利で、かなり状況が変わったのでは?
一夜にして、何もかも変わりましたね。あの日を境に、みんなが温かくなりました(笑)。
日本ーサモア戦の国内視聴者数は2500万人!
ーー9月19日の南アフリカ戦は、翌日の録画放送にもかかわらず4.9%、次の23日のスコットランド戦は14.6%、10月3日のサモア戦は19.3%(ビデオリサーチ調べ)と、いずれも22時台のプライムタイムで、ものすごい高視聴率をたたき出しました。
テレビ局にとって、22時台というのは、19〜22時のゴールデンタイムと並んで、看板番組を放映する重要な時間帯です。
スコットランド戦とサモア戦はその時間帯に試合が開催されることもあって、プライムタイムでの生放送を決めていましたが、放送の1週間前までは視聴率2〜3%と苦戦して、プライムタイムの最低視聴率を更新するかもしれないという不安でいっぱいでした。
ーーそれが、サモア戦は、この週の全放送の中で民放トップでしたね。上にはNHKの朝の連続ドラマしかありません。
にわかには信じられませんでした。ワールドカップの国際統括機関である「ワールドラグビー」は、日本ーサモア戦の日本国内のテレビ視聴者数は2500万人(推定)で、ひとつの国の視聴者数として過去最高を記録したと発表しました。
ーーこの注目度の高さは、もちろん、選手たちがもぎ取った勝利あってこそだと思いますが、日本のラグビー界を盛り上げるという意味で、渡辺さんはどんなかかわり方をしてこられたのですか?
地上波放映権を持つテレビ局のプロデューサーという立場ですが、結果的には、ラグビー日本代表の広報マンというような役割をしなければと思っていました。代表選手たちをテレビや雑誌、Webなどに登場させることで、世の中の人に関心を持ってもらう、というようなことがミッションです。だって、テレビで試合を放送するだけでは盛り上がらないですからね。
もちろん、ラグビー協会に広報担当がいるのですが、人数が多いわけでもなく、彼らは合宿に張り付いていなければならないので、代わりに僕にできることはないだろうかと思い、自然とそういう役割になりました。
エディー・ジョーンズヘッドコーチになってから、代表選手の練習量が半端なくなって、朝の5時から練習を開始して、朝練、午前練、午後練、夜練と、1日複数回の練習は当たり前。今年も代表の拘束日数が年間160日を超えていて、もう一度同じ練習をやれといったら、選手たちもできないんじゃないかと思うくらい、自分たちを追い込んでいた。僕はそれをそばで見ていたし、これだけ選手が頑張っているんだから、なんとかこの頑張りを世の中に伝えたい、伝える方法はないものか、と絶えず思っていました。自分もやれることは全部やらないとダメだと思ったんです。
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