「応戦などできるものではない。逃げるのが精一杯だった」太平洋戦争の戦場で何があったのか?いま聞かないと戦争体験者いなくなる

太平洋戦争のフィリピン戦線では日本兵約52万人、アメリカ兵約1万3000人、フィリピン国民約111万人が亡くなった(写真:はるむこたん / PIXTA)
今年も8月15日の終戦記念日前後には、例年以上に新聞やテレビ、その他さまざまなメディアが戦争についての特集を組んだ。この時期には毎年そうした流れになるわけだが、今年は戦後80年ということで、一歩踏み込んだ報道が目立ったようにも思える。
「戦争はなくならないのではないか」
とはいえ例年どおり、終戦記念日を過ぎると報道の機会は激減した。戦争に関する話題は結局また、不本意な形で消費されていったようにも見えなくはない。
そんなこともあり、そろそろ年末の声が聞こえ始めようとしているいまは、タイミングとしては適切ではない――遅すぎる――のかもしれない。が、そもそも夏の風物詩とはまったく違うものであるし、そうでなくとも『新装版 丹羽宇一郎 戦争の大問題: それでも戦争を選ぶのか。』(丹羽宇一郎著、東洋経済新報社)のことは取り上げておきたい。そう思わずにはいられないのだ。
2017年に刊行された『丹羽宇一郎 戦争の大問題』に、著者が東洋経済オンラインに執筆した記事を加えた新装版である。
日本はこの80年戦争をしませんでした。しかし、私が「いま聞かないと戦争体験者がいなくなる」との思いで戦場体験者の方々にお話をうかがったとき、シベリア抑留体験者からこういわれました。
「戦争はなくならないのではないか」
戦争で九死に一生を得、極寒のシベリアで栄養失調に苦しんだ体験から、戦争は絶対にやってはいけないと強くおっしゃっていました。そしてお話をひと通りうかがったところで、最後に「戦争はなくならないのではないか」と口にされたのです。(「新装版はじめに」より)
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