人生の極意は「人との距離感を適切にとること」。人間関係の軋轢もハラスメントも、すべては「境界線」の引き方にかかっている
② 柔軟にバウンダリーを引いて、社会との関係を再構築する
(160ページより)
大切なのは、自分を取り戻したうえで、社会と適切に関わっていくこと――。そんな順序がとても重要なのだという。それぞれを確認してみよう。
まずは①。社会や人間関係に対して過剰適応してきた人は、バウンダリーが不健全な状態だったと考えられるようだ。そこで、まずは自分のバウンダリーを「育む」ことから始めるべきだと著者は述べている。
バウンダリーは目に見えるわけでも、物理的に線が引かれているわけでもない。それは「これが自分だという感覚」に近く、「自信」と言い換えることも可能だという。自分の考え方に確信が持てれば、他者がどれだけ干渉したとしても、自分なりの感情や感覚・考え・価値観を大切にできるということだ。
それが「バウンダリーが引けている」状態であり、まずはそこを目指すことが大切なのだ。そのためには「自分の領域を大切にする=自分を大切にする」ことに取り組むことが大切。自分の身体の感覚や感情に意識を向け、「自分はなにを心地よく感じるのか」「どんなときに感情が動くのか」「どんな欲求があるのか」など、改めて自分を知ることが重要なのである。
ありのままの自分を取り戻すことができたら、次にすべきは②。他者との間にバウンダリーを柔軟に引き、「適切な距離を保ちながら、社会のなかで自分らしく生きていく」ことを目指すのだ。
「適切」と「健全」を目指す
本書を読んでいると、「適切な」「健全に」といった表現にしばしば出会う。それは、「適切であること」「健全であること」が現実的に簡単ではないからなのかもしれない。
だからこそ私たちは、そこを目指して生きていくべきなのかではないだろうか。当初はうまくいかなかったとしても、無理のない範囲で変化し続けていけば、次第に生きづらさから距離を置くことができるのだろうから。
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