「心を病めてよかったね」産業医が放つ言葉の真意。「生きづらさ」を感じるのは自分が弱いからではなく"生きる力"の発露である

「生きづらさ」はあなたの責任ではありません。そして「心を病む」ということはあなたに「生きる力」が備わっているという証拠です(写真:nonpii/PIXTA)
現代社会は、とかく「生きづらさ」を感じる社会とも言われる。場合によってはそのことが原因でメンタルに不調を来すこともありえる。そんな悩みを抱えた相談者に「心を病めてよかったね」と言う産業医がいる。その真意は何か? 『心を病む力』(東洋経済新報社)の著者である上谷実礼氏が、現代社会が生きづらい理由と、そう感じることが必ずしもネガティブなことではないことを解説する。
「生きづらい」のは自分が弱いから?
生きづらさは、生きるうえで感じる困難さや、生きにくさを指します。やる気が出ない、なぜかイライラする、孤独を感じる、仕事にいつも追われている気がするなど、人によって生きづらさは様々です。その意味で守備範囲の広い概念であり、いまだ明確な定義はないとされています。
でも一つ言えるのは、生きづらさは、個人の問題に起因する事象ではなく、個人と環境との間で生じるものだということです。
そして今や、生きづらさは誰の身にも起こり得る一般的なものになりました。これは何を示唆しているのでしょうか。個人と環境の間で何が起きているのでしょうか。
個人が生きやすいかどうかは、マイノリティであっても、そうでなくても、どれだけ自然体の自分に近い状態で社会に受け入れられるかで決まります。
つまり、社会が寛容であればあるほど、誰にとっても生きやすい社会であると言えます。反対に、社会が寛容さを失えば失うほど、誰にとっても生きにくい社会になります。これが今まさに起きていることではないでしょうか。
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