朝ドラ「ばけばけ」主人公モデル小泉セツはどんな人か 将来を決定づける幼少期の出来事
新政府が発足して間もない会議では、大久保ら倒幕派は徳川慶喜の内大臣辞任と朝廷への領地の返上、つまり辞官・納地を主張したが、土佐藩の山内容堂はこれに反対し、会議が停滞。すると、宮廷警備を担っていた西郷は近くにいる者に大久保と岩倉へこんな伝言を頼んだ。
「短刀一本あれば解決できることではないか。そう伝えてくれ」
つべこべいう反対者は刺し殺してしまえばいい――。メチャクチャだが、これこそが西郷の突破力だ。西郷の言葉は討幕派の覚悟として、ひそひそと休憩中の参加者たちに伝わったらしい。午後から会議が再開すると、慶喜の辞官・納地がすんなり決定している。
物怖じしない性格で周囲を驚かせた
新しい朝ドラ「ばけばけ」で主役となる、髙石あかり演じる松野トキ。モデルとなっている小泉セツは、作家・小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)の妻として知られているが、やはり幼少期に彼女らしさを発揮していたようだ。
セツは松江城下の小泉家で次女として生まれるが、生後7日で子どもがいなかった親類、稲垣家の養女となる。稲垣家からすれば、格式の高い家から養子を迎えたことになる。セツは「オジョ(お嬢)」と呼ばれて、大切に育てられた。
幼少期から物怖じしない性格だったようだ。松江城の近くで軍事教練が行われるので、みなで見物に行ったときのことである。指導教官のフランス人ワレットが近づいてくると、長身で赤い髪という風貌が怖かったのか、居合わせた子どもたちはその場から逃げてしまったという。
それも無理はない。セツが生まれるわずか5年前に起きた薩英戦争では、イギリスを迎え撃つにあたって、薩摩藩内では、こんな奇策が提案されている。
「外国人は牛を食べるらしいから、牛を集めておびき寄せる」
「外国人は足の踵がないらしいから、上陸したところを後ろから押し倒す」
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