再開発の東京で似たりよったりの「金太郎飴ビル」が増加…原点「六本木ヒルズ」に今こそ立ち返るべき理由

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「六本木ヒルズ」の低層部は全体的にゆるやかな弧を描いており、「何が見えてくるのか」というわくわく感を演出している。

六本木ヒルズ
人がブラブラと自由に歩く際、“曲線”が重要(筆者撮影)

もし単調な真っ直ぐとした造りであれば、すべてが一度に見通せてしまい、面白くない。

これは、アメリカの建築家ジョン・ジャーディ氏によるデザイン。日本では、ほかに「キャナルシティ博多」や「なんばパークス」を手がけており、同様に渓谷のようなデザインになっている。

なんばパークス
「なんばパークス」も曲線が施されており、歩いていて楽しい(筆者撮影)

さらに「六本木ヒルズ」では、森タワーやテレビ朝日の設計は別の建築家に依頼し、各々のデザインをコラボレーションすることで、街らしさを演出している。

再開発の先駆けである「六本木ヒルズ」

東京には、「六本木ヒルズ」以外にも高層の複合施設が数えきれないほど存在する。戦後から高度経済成長期にかけて整備された建物が老朽化し、更新時期を迎え、大規模な再開発が行われているためだ。

再開発では、建物を高層化して床を増やし、その床の売却益で建築費をまかなう。この仕組みを、第一種市街地再開発という。「六本木ヒルズ」も、現在進行している再開発の多くもこの仕組みである。

床が多いほど、床が稼ぐ採算性が高いほど儲かることになる。再開発でタワマンが建てられがちなのは、このためだ。

NHK取材班による『人口減少時代の再開発 「沈む街」と「浮かぶ街」』(NHK出版新書)では、「昨今の再開発ラッシュで生み出される空間は、低層部に多少の商業施設(多くはチェーン店舗)や公共施設が入り、それ以外の床はほとんどがタワーマンションであるような、金太郎アメ化した開発が増えてしまっている」と指摘されている。

再開発の仕組み、および複合開発である点は、「六本木ヒルズ」も他の再開発も変わらない。しかし「六本木ヒルズ」は、金太郎アメどころか、東京のランドマークとして20年以上、人を惹きつけている。

なぜなら、「六本木ヒルズ」には“文化都心”という揺るがないコンセプトがあり、開発時から22年が経つ今に至るまで、その取り組みを実行し続けているからだ。

六本木ヒルズ
「六本木ヒルズ」は開発時から現在まで“文化都心”であり続けている(筆者撮影)
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