再開発の東京で似たりよったりの「金太郎飴ビル」が増加…原点「六本木ヒルズ」に今こそ立ち返るべき理由

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「六本木ヒルズ」には、東京らしい眺望を満喫できるスポットがたくさんあるが、なかでもクリスマスシーズンは格別だ。けやき坂のイルミネーションの輝きを、一度は見たいと思う人も多いだろう。

六本木ヒルズ
東京で一二を争うイルミネーション(筆者撮影)

「六本木ヒルズ」では、このような美術館の展示や東京らしい眺望など、さまざまな“体験”ができる。

なぜなら、「六本木ヒルズ」は“文化都心”という明確な目的を持って開発・運営されているからだ。開発を先導した森ビル元社長の森稔氏は、自身の著書でこう語っている。

「『文化都心』とは、暮らしや仕事や買い物の合間に気軽に世界のアートに触れ、一流の人々から学び、旬な人々と交流できる場と機会と時間がある街だ。IT社会になればなるほど、ライブやフェイス・ツー・フェイスの価値は高まる。メディアやネットで『いいなあ』と憧れていた人に直接逢う。コピーではなく本物を観る。そんなわくわくした臨場感のある場を提供したいと思った」(森稔著『ヒルズ 挑戦する都市』/朝日新書)

筆者は以前、何気なく「六本木ヒルズ」を歩いていたときに、藤巻亮太さんが「粉雪」を歌っている場面に遭遇した。予期せず生歌に出会い、感動で心が震えたことを覚えている。この経験から、森稔氏の言葉が腑に落ちた。

何度でも訪れたくなる理由

「六本木ヒルズ」は、美術館の展示が変わったり、定期的にイベントが開催されたりするから飽きない。何度でも訪れたくなる。

そう感じる理由は、ほかに2つあると考えている。

1つ目は、高級路線のテナントが並び特別感がある一方で、意外と日常的に利用できること。

TOHOシネマズで映画を見たり、スターバックスで時間を潰したり。友人とレストランで少しおしゃれなディナーを楽しんだり、ちょっとしたギフトを買ったりもできる。

2つ目は、歩いていて飽きない造りになっていること。

「六本木ヒルズ」の低層部は、造りが複雑でわかりにくいとよく言われる。たしかに、通路が複雑に絡み合っていて、どこに何があるのか掴みにくい。

だがその分、歩いていて飽きない。

たとえば、ヒルサイドの階段。陽の光が差し込む屋外から屋根のある空間へ、ゆるやかなカーブでつながっている。まるでテーマパークにあるアトラクションの入り口のようだ。

六本木ヒルズ
先が見通せないため、探索しているような気分になる(筆者撮影)
六本木ヒルズ
左と右、それぞれ進んだ先に何があるのか気になる(筆者撮影)
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