平日でも、ベビーカーを押す人や若いカップル、観光客で賑わう六本木ヒルズと対照的である。
2つの再開発の明暗を分けたのは?
六本木と汐留を分けたポイントは、「土地のまとまり」と「コンセプトの強さ・継続」にあるだろう。
「六本木ヒルズ」は前述したとおり、テレビ朝日のビルだけでなく、周辺も含めてまとまった土地を森ビルが開発した。一方、汐留は11区画に分けられ、電通や三井不動産、日本テレビなどが別々のビルを建てた。
せっかく広大な土地があったのに、別々に開発したことでビルの乱立になってしまった。

「カレッタ汐留」の低層部は商業施設になっているが、敷地が狭いため店舗数が限られ、スケールメリットを出せていない。店舗構成も飲食店に偏っており、利用者は周辺のオフィスワーカーが中心だ。
2つ目の「コンセプトの強さ・継続」に関して、「六本木ヒルズ」は“文化都心”をコンセプトに掲げている。
その強さを表しているのが、森タワー最上階の美術館。高い賃料を取れる最上階に、採算性の低い美術館を入れたのだ。

「カレッタ汐留」にも、日本初の広告ミュージアム「アドミュージアム東京」や「四季劇場」といった文化施設がある。しかし、それぞれ地下1階と地上1階。最上階はレストランと美容クリニックになっている。
さらに、「六本木ヒルズ」は2003年の開業から今に至るまで、イベントを開催し文化に触れる場を創出し続けている。
「六本木ヒルズ」と「カレッタ汐留」の公式Xを遡り、過去1年間に開催されたイベントを確認した。
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