行政の手続きが完了し、着工に至ったのは2000年4月。オープンを迎えたのは2003年4月。再開発に着手してから、17年もの時間が経っていた。

「六本木ヒルズ」の再開発の特徴は、広大な工場跡地などではなく、災害に弱かった住宅地を安全な街に変え、人々に文化体験を提供していること。
周辺の土地と一体的に再開発したからこそ、多くの人を集める施設になった。再開発の発端となったテレビ朝日の土地は、3ヘクタールほど。「六本木ヒルズ」全体の4分の1強の面積である。もし、テレビ朝日の土地だけで開発したら、これほど多様な価値は提供できなかっただろう。
20年後に賑わう街・閑散とする街
「六本木ヒルズ」の再開発と同時期に、同じ港区の汐留でも再開発が行われた。2002年にまちびらきした「汐留シオサイト」である。
敷地の大部分は、1986年に廃止された旧国鉄汐留貨物駅のターミナル跡地。面積は31ヘクタールで、「六本木ヒルズ」の倍以上だ。

しかし、20年以上が経過した今、その賑わいの差は歴然としている。
「汐留シオサイト」の中心である「カレッタ汐留」は、その閑散ぶりから「枯れった汐留」と言われている。
実際に歩くと、駅前の広場にも館内にも人の姿はあった。ところが、その多くはスーツを着たり、ネックホルダーを下げたり、パソコンを開いたりしている人。平日とはいえ、プライベートらしい装いの人をあまり見かけない。

街を歩いているのも、やはりオフィスワーカーばかり。会話が少なく、車や電車、飛行機の機械音が大きく聞こえる。
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