人気バンドのドラマーが罹患を公表――頭痛だけじゃない?知っておきたい脳腫瘍の"6つのサイン"と罹患率・治療法《医師が解説》
大腸がんや乳がんなどのがんでは、「腫瘍が小さいうちに早く見つけて、手術でがんを完全に摘出すれば治る」という早期がんという考え方が成り立ちます。
しかし、膠芽腫は周囲の細胞に染み込むように広がっていきます。そのため、画像検査で確認できる頃には、すでにその周辺には目に見えない広がりが存在することが多いのです。
もちろん、早期に診断されることには意味があります。
腫瘍が小さいうちに手術ができれば、大事な脳の機能を残しながら、より多くの腫瘍を取り除ける可能性が高まります。結果として、手術後の生活の質を守りやすくなります。
また、症状が軽いうちに治療を始められるため、麻痺や言葉の障害といった重い症状が出る前に対応でき、社会生活を続けやすくなります。臨床試験や新しい治療法を受けられるチャンスが広がります。
しかし、将来的に脳腫瘍になる割合や、検査のメリット・デメリットを鑑みると、必ずしも脳腫瘍の早期発見のために検査を受けることはお勧めできるとは言い難いです。
危険な頭痛を見分けるポイント
では、どうすれば早期発見ができるのか。それはやはり「体の声に耳を傾けること」が大事です。
日本人の大人のうち、慢性的な頭痛を経験する人はおよそ8割にのぼるとされます。頭痛があると脳腫瘍ではないかと心配になる方は多いのですが、実際に頭痛の原因が脳腫瘍であることは非常にまれです。
多くの場合は「片頭痛」や「緊張型頭痛」といった大きな病気を伴わない頭痛(一次性頭痛)で、神経内科や脳神経外科を「頭痛」で受診した患者さんのなかでも、脳腫瘍が原因だったケースは1%にも満たないという報告があります。
一方、注意しなければならない危険な頭痛があります。「二次性頭痛」と呼ばれ、脳腫瘍や出血、感染症によるもので、生命に関わります。
「これまで経験したことがないような突然の激しい頭痛」「日ごとに悪化していく頭痛」「朝方に特に強くなる頭痛」「咳やくしゃみで悪化する頭痛」などです。また、頭痛に加えて吐き気や手足のしびれ、言葉が出にくいといった症状が一緒に出てくる場合には、脳に何らかの異常がある可能性が高くなります。
頭痛だけではなく、ほかの症状も気にかけてほしいと思います。
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