人気バンドのドラマーが罹患を公表――頭痛だけじゃない?知っておきたい脳腫瘍の"6つのサイン"と罹患率・治療法《医師が解説》
年齢別にみると、20代では年間に人口10万人あたり1.3~2.5人程度で、年齢が上がるにつれて発症率は高くなります。これはほかのがんと同じ特徴です。ただし、腫瘍の種類や発生部位ごとの細かい統計は、十分に揃っていません。
日本全体の「脳・中枢神経系腫瘍」をまとめたデータで見ると、5年生存率はおよそ35.6%です。年齢別では若年や中年のほうが成績は良く、65歳以上になると下がります。
「不安で脳ドック」は正解か?
肺がんや胃がんのように、脳腫瘍を早期に見つける方法はないのか――。そう考える人もいると思います。
しかしながら、現時点で日本には「脳腫瘍のがん検診」として、全国的に推奨されているものはありません。医療機関によっては「3年ごと」や「5年ごと」に脳ドックを勧めるところもありますが、科学的に根拠のある標準的な指針はありません。
脳ドックとは、 MRIを用いて、脳に腫瘍や脳の血管に異常がないか調べる健康診断の一種です。動脈に瘤(りゅう)ができていると、くも膜下出血のおそれが生じます。また血管に狭くなっている場所があると、将来的に血流が滞り、脳梗塞の原因となります。
これらの病気については、症状のないうちに発見して治療すれば、大きな後遺症を未然に防ぐことができます。
では、脳腫瘍についてはどうでしょうか。
メリットとしては、“症状が出る前の良性腫瘍を、偶然発見できる可能性がある”ことが挙げられます。早い段階で見つかれば、腫瘍を手術で安全に取り除ける可能性が高まり、術中に神経を傷つけてしまうことによる合併症を減らせることもあります。
また「検査を受けた」という安心感を得られます。
デメリットは、MRI検査の費用が高額であること。さらに、本来は一生症状を出さなかったかもしれない腫瘍を見つけてしまい、不必要な手術や治療につながる「過剰診断」のリスクもあります。
加えて、検査結果に不安を抱きつつ過ごすことになります。
そもそも悪性の脳腫瘍、とくに膠芽腫のような腫瘍には、早期発見という概念がありません。
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