人気バンドのドラマーが罹患を公表――頭痛だけじゃない?知っておきたい脳腫瘍の"6つのサイン"と罹患率・治療法《医師が解説》

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原発性脳腫瘍は、脳を形づくるさまざまな細胞から発生します。

たとえば、神経を支える神経膠(こう)細胞(グリア細胞)からできるのが「神経膠腫(グリオーマ)」で、そのなかには星細胞腫や膠芽腫などがあります。

このほか代表的な原発性脳腫瘍としては、脳や脊髄を包む膜からできる「髄膜腫」、ホルモンを分泌する下垂体にできる「下垂体腺腫」、聴神経にできやすい「神経鞘腫」などがあります。また、お子さんでは小脳にできる「髄芽腫」が比較的多く見られます。

このように、脳腫瘍とひとくちで言ってもいろいろあり、性質も治療法も大きく異なります。ですので、まずはその違いを理解することが、病気への正しい理解につながります。

「良性」「悪性」の違い

また、脳腫瘍には、良性のものと悪性のものがあります。

良性腫瘍は進行がゆるやかで転移はせず、手術で取り切れると治ることもあります。ただし、脳の深部や重要な神経の近くに腫瘍がある場合、良性でも手術が難しくなることがあります。

一方、悪性のものは成長が速く、周囲の脳に広がりやすいという特徴があります。手術で完全に取り除くのが難しいうえ、放射線治療や薬物療法を併用しても完治はしにくく、治療成績は良性に比べて劣ります。

転移性脳腫瘍は先に述べたとおり、ほかの臓器にできたがんが脳に広がったものです。原発性脳腫瘍よりも患者数が多く、脳腫瘍全体で最も頻度が高いといわれています。治療は原発のがんの種類や全身の病状に合わせて、手術、放射線治療、薬物療法を組み合わせます。

脳腫瘍は良性でも悪性でも、ガンマナイフという特殊な放射線治療を行うことがあり、さまざまな脳腫瘍に対して保険が適応されています。

病気の種類や状態、病巣の大きさによって、ガンマナイフが適している場合と、手術のほうが適している場合とがありますので、どの治療法を選択するかは専門医が総合的に判断します。

■脳腫瘍の発症頻度や生存率

日本で1年間に新たに診断される脳腫瘍患者数はおよそ5700人で、10万人あたり約4.6人です。男性は5.1人、女性は4.1人と、やや男性に多く、2023年の死亡数は3150人と報告されています。

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