ビル・エモット「中国の領海拡大を許すな」

米国は南シナ海に定期的に協調介入すべき

中国が造成している南シナ海のファイアリー・クロス礁。米海軍の哨戒機が5月に撮影(写真:ロイター)

南シナ海にある中国の新たな人工島の12海里以内に米海軍の艦船を航行させたことは、この数年間では最も大胆な、米国による軍事介入となった。

1996年にビル・クリントン大統領が、当時窮地に立っていた台湾を支援するため台湾海峡に艦隊を派遣して以来、米国はこれほど大胆に、中国の違法な領土的主張に挑戦したことはなかった。

象徴的なジェスチャーとして、この動きを歓迎すべきだ。しかし、これで十分ではない。中国による国際法解釈に真に反撃するには、中国の領土的主張に対して何回も定期的に、他国と協調して挑む必要がある。

まったく筋が通らない中国の主張

今回の介入に対する中国の反応は、領海への違法な侵入であり米国の偽善の表れだとして、激しい憤りを装うことだった。中国の主張は、米国は中国が南シナ海に人工島を建設すると懸念するが、ベトナムやフィリピンが同じことをしても気にはかけない、との内容だ。しかし、中国がよく理解しているように、どちらの主張も筋が通っていない。

ベトナムもフィリピンも、中国が悪名高い「九段線」を持ち出してきているように、南シナ海全体への領有を主張しているわけではない。この九段線とは、巨大な舌状の領土的主張を行うものだ。第2次世界大戦後の当初は中華民国政府が主張し、共産党政府が引き継いだ。

また両国は、従来暗礁であった地点の周辺海域上での主権を主張するなどして国連海洋法条約に違反しているわけでもない。この条約の厳密な定義を無視しない限り、今回の米国の介入を「違法」と言うことはできず、その場合でも、いかなる法によって介入が禁止されるのか明確ではない。

次ページ米国と並び立ちたい中国
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 育休世代 vs.専業主婦前提社会
  • 若者のための経済学
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
かんぽ まさかの10月営業再開<br>日本郵政グループの不適切判断

日本郵便本社が発した「10月からかんぽ営業を段階的に再開」との緊急指示に、現場は大混乱。乗り換え勧奨禁止などの再発防止策、7月末に実施を発表した全件調査、特定事案調査にも大きな問題を残したままだ。拙速な営業再開の裏には何が。