南シナ海にある中国の新たな人工島の12海里以内に米海軍の艦船を航行させたことは、この数年間では最も大胆な、米国による軍事介入となった。
1996年にビル・クリントン大統領が、当時窮地に立っていた台湾を支援するため台湾海峡に艦隊を派遣して以来、米国はこれほど大胆に、中国の違法な領土的主張に挑戦したことはなかった。
象徴的なジェスチャーとして、この動きを歓迎すべきだ。しかし、これで十分ではない。中国による国際法解釈に真に反撃するには、中国の領土的主張に対して何回も定期的に、他国と協調して挑む必要がある。
まったく筋が通らない中国の主張
今回の介入に対する中国の反応は、領海への違法な侵入であり米国の偽善の表れだとして、激しい憤りを装うことだった。中国の主張は、米国は中国が南シナ海に人工島を建設すると懸念するが、ベトナムやフィリピンが同じことをしても気にはかけない、との内容だ。しかし、中国がよく理解しているように、どちらの主張も筋が通っていない。
ベトナムもフィリピンも、中国が悪名高い「九段線」を持ち出してきているように、南シナ海全体への領有を主張しているわけではない。この九段線とは、巨大な舌状の領土的主張を行うものだ。第2次世界大戦後の当初は中華民国政府が主張し、共産党政府が引き継いだ。
また両国は、従来暗礁であった地点の周辺海域上での主権を主張するなどして国連海洋法条約に違反しているわけでもない。この条約の厳密な定義を無視しない限り、今回の米国の介入を「違法」と言うことはできず、その場合でも、いかなる法によって介入が禁止されるのか明確ではない。
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