老化のカギとなる体の中に存在する「組織」の正体…知られざる細胞の主役「ミトコンドリア」を徹底解説

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学校で学習したのを覚えておられる方も多いと思いますが、食べ物の三大栄養素は脂質とタンパク質、そして炭水化物です。

これらのうち、タンパク質はアミノ酸に、炭水化物はブドウ糖に姿を変え、さらに脂質とともにミトコンドリア工場に送られます。この工場でさらに形を変え、呼吸によって入ってきた酸素と反応して、ATP(アデノシン三リン酸)という製品が完成します。

さて、製品のATPは、いってみれば「細胞が使うエネルギーのお金」のようなもの、というイメージが近いと思います。

体というとてつもなく複雑にして精妙な存在は、さまざまな臓器、部位で、さまざまなエネルギーが必要になります。これを個別の必要に応じて、別々に作り出すことは大変なことになります。

他方、私たちは衣服だったり、食べ物だったり、家賃だったりと、さまざまな局面で必要とされるものを、「お金」を使うことで手に入れられます。いろいろなモノを得るために、いちいち物々交換をしなくても、「お金」のおかげでスムーズになります。

ミトコンドリアが作るATPの役割は、この「お金」の流通の仕方に似ています。では、ミトコンドリアにちなむ興味深い話題をご紹介しましょう。

細胞の死、アポトーシスにも関わる

ミトコンドリアは、細胞の死にも関わっていることがわかっています。細胞の死とは、細胞によって構成された動物などの生物そのものの死ではなく、細胞自体の死のことです。

細胞の死は大きく分けて、1つはネクローシスと呼ばれる壊死(えし)、もう1つは生物がより活発に生きるために、不要な部分を切り捨てるアポトーシスと呼ばれる死があります。

ネクローシスはケガや火傷など、突然思いがけなく損傷を受けてしまった場合に起こります。この死は、予期しない外部からの力によって、予期せず訪れます。死んだ細胞は、死の痕跡を残してしまいます。

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