金融緩和では解決しない日本経済の低迷、国会の責任は重大
1990年代の日本の経験に照らせば、欧米も短期の景気循環を繰り返しつつ、中期あるいは長期の平均的な成長率が一段低下するだろう。
日本はどうか。平均的な実質GDP成長率は80年代の4%から90年代以降、1%に下がっている。輸出主導で伸びた06~07年ですら2%台にとどまった。
こうした日本の閉塞感は、国内の消費や投資が盛り上がらないこと、つまり民間部門の貯蓄超過に表れている。家計の貯蓄率は低下しているものの、所得の低下に比べれば下げ渋っている。また、企業が95年ごろから資金余剰となる異例の事態に陥っている。そして、これが財政赤字の補填である国債購入と、外貨準備すなわち対外投資に回っている。
成長率が低下した理由としては、生産労働人口が減少していることや資本効率が低下していることが指摘されている。また、企業の貯蓄超過の裏側で雇用者報酬が削減されており、それが消費水準を低下させたという主張もある。こうした長期にわたる成長率低下の原因とその処方箋を考えることや、低成長であっても国民の生活が成り立つ仕組みを考えることが必要だ。
だが、長期の成長率の低下の問題を考えるより、まず日本銀行がおカネをバラまくことによってデフレから脱却すべし、と主張する人々がいる。インフレ期待が高まれば投資や消費が増えると考えるからだ。すでに日本の政策金利はゼロになっている。名目金利がゼロになり、いくら資金を供給してもリスクのある投資をするメリットがなく、現金が選好されてしまい、金融政策の有効性が失われる「ゼロ金利の罠(わな)」の状態に陥っている。ところが、インフレ推進派は日銀がインフレ目標を掲げてそれを達成するまで、国債を買い続けて資金供給を続けると言えば、人々の間でインフレ期待を高めることができるというのである。