金融緩和では解決しない日本経済の低迷、国会の責任は重大

そもそも実質金利が高いというが、実質金利はグローバリゼーションの中で、国際的に均等化が進み高止まりしていないことが研究者の間で指摘されている。

皮肉なことに、インフレ促進派は日銀の力を過大評価しているのではないか。

一般の消費者に「なぜ貯蓄をするのか」と聞けば、「デフレだから」ではなく「将来が不安だから」と答える人が圧倒的に多いのが実情だろう。河野氏は、GDP比200%もの規模に膨らんだ政府債務残高が人々の投資や消費を抑制する“非ケインズ効果”を指摘してきた。

持続可能な社会保障の道筋を示すことこそ、国会議員の仕事である。それが困難なので安易な政策があるかのように振るまっている。また、円安が日本経済にとってプラスであると信じるために、金融緩和を主張する国会議員もいる。円安は輸出企業を利するかもしれないが、輸出企業が米国のバブルで潤った時期にも雇用者報酬を引き下げてきたことを忘れている。国民の9割は内需産業に従事しており、その意味でそうした議員の「国民目線」というのも虚構であることがわかる。

あろうことか、日銀に紙幣を刷らせて財政のファイナンスをすべしという主張に至っては、悪い物価上昇を招く危険な賭けである。単なる通貨価値の下落によるインフレを招けば、日本の国債の金利は暴騰、多量の国債を抱える銀行や生保を直撃し金融システムの危機につながる。

(シニアライター:大崎明子 撮影:風間仁一郎 =週刊東洋経済2012年4月21日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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