金融緩和では解決しない日本経済の低迷、国会の責任は重大

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そしてその根拠として、日銀が量的緩和政策を行った01年3月~06年3月に、物価連動債から割り出される期待インフレ率が高まったとする。

だが、日本の物価連動債は市場が縮小一辺倒で妥当な指標にはならない。また、物価連動債の市場が厚みを持っている米国でも、期待インフレ率は金融市場参加者だけでなく、ミシガン大学の消費者信頼感指数など一般の消費者の見方を取り込み、判断されている。

国会議員の怠慢

4月、日銀審議委員に民間エコノミストの河野龍太郎氏を充てる人事が国会で不同意とされ、不成立となった。その背景には、消費税をめぐる民主党対自公連合の政局の問題もありそうだ。そもそも、日銀審議委員人事を政争の具とすること自体、問題である。だがそれだけではなく、日銀がカネをバラまけば、日本の景気がよくなるかのように信じる国会議員が増えており、河野氏が、それに否定的であることが喧伝された面もある。自民党が日銀法改正案を協議するともいう。

しかし、一般消費者のインフレ期待は、日銀の物価目標よりも、製品価格に広く影響する原油価格の値上がりに反応するだろう。

また、日本のデフレの原因の多くは耐久消費財の価格下落に起因し、このところ影響が大きいのは薄型テレビである。こうした商品の価格下落は、供給過剰と韓国製品などとの競合によるもので、経営戦略の失敗というミクロの問題だ。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事