金融緩和では解決しない日本経済の低迷、国会の責任は重大
世界の金融市場の動きは2010年以降、3年連続で同じパターンを繰り返している。1~3月期には、前年の後半に先進国の中央銀行が実施した金融緩和を受けて金融市場の不安が後退し、米国の景気の好転が伝えられ、株価は上昇して高値をつける。ところが4~5月ごろになると、欧米経済への不安が再燃し、新興国の牽引力に黄信号が灯り、株価は反転し、下落に向かう。
繰り返されるパターン
こうした動きの背景にあるのは、08年9月のリーマンショック以降、経済の構造的な問題がまだ何も解決していないことだ。問題とは、欧米経済のバブル崩壊後のバランスシート調整と、中国をはじめとする新興国が「中所得国の罠(わな)」に直面していること。これらは、中期、あるいは長期的に世界経済を下押しする圧力になっている。
財政政策や金融政策などのマクロ経済政策は、短期的な景気循環の山と谷をならす効果があるにすぎない。モルヒネやカンフル剤としては、抜群の効果を発揮するが、長期の成長率を押し上げることはできない。
米国は、住宅在庫の調整が終わって価格が底打ちしないと、本格的な景気回復が始まらない。その調整は半ば過ぎまで来ているが、エコノミストの見立ては、最短であと2年、最長で4年を要するというものだ。
欧州に関しては、事情はもっと厳しい。為替レートによる調整ができないという構造的な欠陥を抱えて、緊縮財政と負債の圧縮に、南欧諸国の経済は耐えられない。それがスペインやイタリアの国債利回りの急騰につながっている。