「助けてください」涙の土下座で迫る人事部長――同情心を食い物にする「採用ノルマ」の狂気
「カジュアル面談」のはずが派手な女性たちが登場
「お願いします。あなたが入社してくれないと、私は辞められないのです。助けてください」
もし、採用責任者から突然、涙ながらに土下座されたら、あなたの気持ちは揺らぐだろうか。
岩崎俊介(仮名、39歳)は小学校の教員を経験したのち、教育委員会の人事部門に出向している。現場の学校では教員の休職や退職が相次ぎ、子どもへの指導だけでなく保護者との関係に悩み、うつ病を発症するケースも少なくない。なかには保護者からの行為が「教員へのいじめ」と思われる事例もある。
だが、現場で寄せられる悩みに対して岩崎ができるのは、話を聞いてやることだけ。ルールどおり、理屈どおりには解決できず、無力感にさいなまれる日々だった。
来春には出向を終え現場教員に復帰する予定だが、一方で人事の経験を生かし、民間企業で従業員の心のケアに携わりたいという思いも芽生えていた。



















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