10月29日朝に発表された9月の鉱工業生産指数は、市場予想を上回る前月比+1.0%の97.3となった。発表元である経済産業省は、「総じてみれば、生産は一進一退で推移している」とコメントしている。一進一退とは言い得て妙で、これにはいいニュースと悪いニュースが含まれている。
バッドニュースを先に挙げると、鉱工業生産を四半期ベースで見た場合、1-3月期は99.7、4-6月期は98.3、7-9月期は97.0と右肩下がりとなる。GDPはおおよそ鉱工業生産に連動するので、11月16日に発表される予定の7-9月期GDPは、2四半期連続のマイナス成長となる確率が高まった。自動的に「日本は景気後退局面」ということになる。
日本経済が直面する3つのリスク
グッドニュースは、同時に発表された10月分の予想が前月比+4.1%という大幅なプラスであったことだ。つまり在庫調整はこの夏で一段落し、年末に向けて企業の生産活動は再び上向くものと見なすことができる。もっとも、景気の足踏み状態が短期間で終了するかどうかはわからない。年末に向けて、日本経済は3つのリスクにさらされるからだ。
その1として、インバウンド需要は確実に減少に向かうはずである。百貨店での免税手続き客数は今年7月がピークで、今年の流行語になりそうな「爆買い」もさすがに峠を越した模様である。
その2は逆オイルショックで、資源価格低迷の必然的結果として、産油国経済の混乱や、石油企業大手の業績悪化が予測される。最近のロシアの軍事行動に対し、経営不振の会社がテレビCMを打ちまくっているような危うさを感じるのは筆者だけだろうか。
その3は新興国経済の通貨安懸念である。アメリカの年内利上げはないと思うけれども、ブラジルやトルコなどの経済は明らかに危なっかしい。
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