
道頓堀川の「えびす橋」は別名「ひっかけ橋」。少し前まで「ナンパの名所」だったが、今はグリコの看板を背景に写真を撮るインバウンド客であふれかえっていた。午後5時、まだ阪神のユニフォームを着た人は見かけなかったが、一本西側の御堂筋では、一車線を閉鎖して、大阪府警機動隊の人員輸送車がずらっと停まっていた。道傍では警察官が集結して機材の用意をしていた。
「えびす橋」の周囲は「飛び込み危険!No Diving」の横断幕がびっしりと掲げられていた。橋には報道陣が三脚や脚立を設置して夜に備えている。物々しい空気だ。

大阪府警は1000人を動員「一人も着水させてはならぬ」と眦を決して優勝の報を待ち受けていたのだ。
「道頓堀ダイブ」する人は本当の阪神ファンではない?
筆者は優勝の瞬間はテレビで見たが、この瞬間にミナミ周辺の阪神ファンが「えびす橋」に押し寄せた。すでに配備を終えていた警察は橋につながるすべてのスロープを閉鎖。橋の欄干には警察官が並び、ファンに近寄らせなかった。
そこで仕方なく橋の近くの川べりから何人かがダイブした。これは防ぎようがない。なかには大阪万博のキャラクターの「ミャクミャク」の被り物で飛び込んだファンもいた。
「なにわの大捜査戦、えびす橋を封鎖せよ」は、大阪府警の勝利に終わったが、いちびり(調子乗り)の大阪人は「あかん」と言われると余計にやりたくなる。取り締まる側もほどほどにすべきだろう。
ただ、最近になって「道頓堀飛び込む奴は、ほんまの阪神ファンと違うで。ほんまのファンは優勝決まりそうやいうときは、チケット持ってなくても甲子園球場の周辺にいてるもんや。そうでなかったら、サンテレビの前で手に汗握っているもんやろ。あいつら便乗しているだけや」という声をしばしば聞くようになった。
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