キーエンスで、上司が部下に「さん付け」「です、ます口調」で話すことを徹底する合理的な理由
「ため口は仲がいい証拠」と考えるのは、上司の側だけだということを強く意識してください。
もちろん、「上」司と部「下」なので立場の上下はあるのですが、それはあくまで仕事を進めるうえでの役割、ポジションの違いにすぎません。ピッチャーとキャッチャー、フォワードとキーパーでどっちがえらい、ということがないのと同じように、上司が部下よりえらいわけではないのです。
キーエンスでは、社長であっても「○○さん」
上下関係が固定化すると、どんな問題が起こるでしょうか。たとえば、部下側に何か困ったことがあったり、問題を抱えたりしたときに、あなたに相談するのが難しくなってしまいます。加えて、部下側や後輩から改善提案など発信することを躊躇することにもつながります。
部下が抱えるトラブルや悩みの把握が遅れると、結果的に取引先との大きなトラブルや、部下の退職といった取り返しのつかない事態を招くこともあります。
また、あなたの指示が「反対できない、絶対的なもの」と受け取られるようになると、チーム内での自由な議論が難しくなります。これはもう、パワハラの数歩手前と言っても過言ではありません。
たかが話し方と感じるかもしれませんが、実はそれこそが部下との人間関係を決めてしまう最初の一歩とも言えます。その点を忘れず、「さん付け」と「です、ます」は徹底的に心がけてください。
ちなみにキーエンス社内では、たとえ相手が社長や取締役であっても、肩書では呼ばず「さん付け」を徹底するルールでした。
相手が社長なのは事実だとしても、もし互いに肩書で呼び合えば「社長」と「課長」など、やはり上下関係が固定化してしまいますよね。
年功序列が会社の大原則だった昭和や平成前半の時代とは違い、今は先輩があなたの部下になったり、逆に後輩や同期があなたの上司になったりということはまったく珍しくありません。そんなときも常日頃から「さん付け」と「です、ます」を徹底していれば、「コミュニケーションが取りにくい」なんて悩む必要はありません。
もちろん、職場を離れた飲み会の場などでついついくだけた口調になってしまうことはあると思います。以前から仲のよい同期同士なら、会社の外では「ため口」で話すことになるでしょう。しかし、その関係を職場に持ち込んではいけません。
一歩職場に足を踏み入れたら、どんなに仲がよくても「さん付け」と「です、ます」を貫いてください。
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