まるで「一筆書き」のようにスイスを巡る"パノラマ鉄道"の醍醐味――乗客を魅了する8路線・1280キロの旅《現地ルポ》

✎ 1〜 ✎ 35 ✎ 36 ✎ 37 ✎ 38
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

船の終点であるフリューエレンの船着き場から2分ほど歩くと、フリューエレン駅に着く。ここからベリンツォーナまで、再び列車だ。

「撮影用車両」で最高の写真を!

フリューエレンからベリンツォーナまでは、50分で往来できる新ルートと、2時間ほどでアルプスの峠を越える旧ルートがある。ほとんどの列車はトンネルばかりの新ルートを走るが、ゴッタルド・パノラマ・エクスプレスは倍ほどの時間をかけて旧ルートを走る。

パノラマ・エクスプレスという名前だけあって、この列車の最大の特徴は「撮影用車両」があるということだろう。

一般の車両は窓が開閉できないので撮影はガラス越しになるが、ゴッタルド・パノラマ・エクスプレスでは窓が開閉できる古い車両をあえて連結することで、窓を開けての撮影が可能。ガラスの反射に邪魔されず、写真やビデオの撮影ができる。

この路線は、山と山に囲まれた谷底ではなく山の中腹を通る。谷底に流れる川のエメラルドグリーンの水面や道、そして小さな集落を斜め上から俯瞰的に眺めることができる。谷底を走る路線と違って、眼下に広がる景色を眺められるのが、まさにパノラマ・エクスプレスの名にふさわしい。

ゴッタルド・パノラマ・エクスプレス
ゴッタルド・パノラマ・エクスプレスの「撮影用車両」からの風景。遠くの銀嶺と眼下のエメラルドグリーンの川というまさに「ザ・スイス」の光景が広がる(写真:筆者撮影)

撮影用車両の難点は、古い車両なので乗り心地が劣るというところか。というわけで、普段は1等車や2等車で座り、車掌が「この先、フォトスポットが連続します」と案内してくれたら移動するのが、オススメだ。

山越えの列車ではあるが、1等席や2等席の乗り心地は快適。天窓はないが、代わりに窓が湾曲していて広く、車窓からの風景を堪能できる。撮影をしないのなら、ここからの風景を楽しむだけでも十分だ。

ゴッタルド・パノラマ・エクスプレスの1等車
ゴッタルド・パノラマ・エクスプレスの1等車(写真:筆者撮影)
次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事