さらに、多くの違法なビジネスと同様に、リゾートバブルで儲かったのは、大事なものを売ってしまった人々ではない。その人々を利用した、関わりと愛のない業者だ。なるほど、先祖代々の土地をこれまでの相場の2倍で売り、儲かったかもしれないが、それを仕入れた業者は、デベロッパーにその4倍で売り、デベロッパーは投資家にその4倍で売る。
「日本のすべて」が破壊されてしまった
さらに投資家は、次の投資家に2倍で売ろうとするが、ここからはゼロサムゲームで何も増えない。つまり、リゾート開発で起きるのは、社会と環境の破壊と、社会と環境の価値を現金化したものだが、その現金は、外部に流出してしまっている。つまり、破壊された環境と社会が残るだけなのだ。
残ったニセコの夏の町並みを見たが、乱開発されまったく統一性のないものだった。もし投資家が自分の目で夏の現地を見たら、買い手はいないだろうと心配し、「買い手を連れてくるなら雪に覆われているときに限る」と確信するほどの、惨憺たる姿であった。
しかし、壊されたものは、環境と町並みだけではない。日本文化、日本人の精神、大和魂、日本のビジネスモデル、日本経済、日本企業モデル、すべてが壊されてしまったのだ。証拠(エビデンス)を見せよう。これは、すでに「東洋経済オンライン」の別の記事でも示唆されている(「親日家が語る中国の超富裕層が訪日を卒業した訳」(筆者:劉 瀟瀟氏、7月14日配信)。
話をニセコに戻すと、今回、途中からかんべえ氏(双日総合研究所チーフエコノミスト・吉崎達彦氏)らのグループと別行動をとった私は、「ニセコひらふ」の真ん中にある某宿の近くのコンビニによって、ペットボトルのお茶を買って、部屋でひとり、ゆっくりと「JRA(日本中央競馬会)改革案」を執筆しようと思った。
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