「ニセコのバブル崩壊」が象徴、「世界に誇るすばらしい日本」の消失があらゆる場所で起きている

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某有名NB(ナショナルブランド)のお茶2リットルのペットボトルを持って、レジに行った。途中でこのコンビニでは定評があるらしいソフトクリームが目に入ったが、「俺はソフトクリームはいらないぜ」、などと思っていると、レジのお兄ちゃんが「税込み464円です」という。

え?そんな馬鹿な。本州から輸送すると北海道ではそんなに高くなるのか!と驚き、そのコンビニチェーンのPB(プライベートブランド)のお茶に、わざわざ冷蔵庫まで戻って取り換えて、167円を払って、店を出た。

しかし、翌日、倶知安駅(ひらふとは、大雑把にいえば電車で1駅隣)そばの、同じ地元コンビニチェーンの店舗によったところ、同じNBのペットボトルのお茶2リットルが税込み226円で売っているのを発見した。一方、このチェーンのPBのお茶は167円で、ひらふ店と同じ値段だった。本州からの送料は関係なかったのである!要は、ひらふの観光客からは464円ぼったくり、地元の人々には226円で売っているのである!

「合理的な価格設定行動」の「落とし穴」

これは、伝統的な経済学の教科書には、合理的な価格設定行動と書かれている。値段を気にしない客に対しては(需要の価格弾力性が低い客)、高い価格を設定し、利益を最大化するのだ。

しかし、行動経済学の教科書には、アメリカのシカゴ郊外のホームセンターの話が登場する。突然の大雪が降り積もった翌朝、雪かき用のスコップをいくらで売るか。いつもの値段で売るか、まだ冬支度をしていなかった人々が殺到してスコップを買い求めるから、在庫の4倍以上需要があるから、いつもの2倍の値段をつけて、それでも買うという、スコップへのニーズがより強い人に売る(2倍なら買わない人もいるので)か、どうしますか?という有名なケーススタディが出ている。

実際には、ほとんどの店は倍の値段はつけずに同じ値段で売るし、客も、2倍の値段をつけているのを見たら、そのスコップを買わないだけでなく、「その店では二度と買わない」と決意する、という人がほとんどであるというアンケート調査結果が示されている。ホームセンターの客は地元客で、リピーターだからである。一方、観光客は二度と出会わないから、ぼったくるのが合理的なのである。

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