この制度導入の理由となったのは、1965年の通称山岡事件であるが、いまや八百長はJRA競馬においては皆無だと思われ、また暴力団との関係の危惧は、3連単の導入とともに、ノミ屋がほぼ一掃されたことにより、ほぼなくなったと言ってもよいだろう。
わずかにあるとしても、ほかの分野と同様に「暴対法」で対応すれば済む話と思われる。したがって、現在、JRAをとことん閉鎖的にして、調教師免許、騎手免許を極端に制限しているのは、現役調教師と現役騎手の既得権益、免許を取るのは極端に大変だが、とってしまえばその免許に守られ続けるという状況を変えることができない、という理由だけである。
JRA調教師免許を開放、実質実力主義にせよ
騎手のほうは、40年前は、岡部幸雄騎手以外は全員厩舎に所属していた。だが、現在ではほぼすべての騎手がフリーで、競争が働き、また外国人騎手への短期免許により、部分的には競争圧力が生じているが、調教師にはほとんど起きていないという現実がある。
このままでは実質的に最強生産者であるノーザン・社台グループの外厩が実質的な力を持ち、彼らと強いつながりを持つことが、JRA調教師という既得権益を最大限に活かすことになる、という構造では、いつまでも日本の調教師が世界一になることはできない。これが、日本競馬が真の世界一になることへの最大の妨げとなっている。
したがって、JRA改革としていちばん重要なのは、JRA調教師免許を幅広く開放することである。NAR(地方競馬全国協会)調教師、あるいは現在外厩で活躍している関係者などにも免許を与える、つまり、調教師試験を実質実力主義にし、かつハードルを低くし、JRA調教師になってから、実質的な実力競争を激しく行うような制度、構造に変えることである。
続きは、またいつか。
(※ 次回の筆者はかんべえ(双日総研チーフエコノミスト・吉崎達彦)さんで、掲載は9月13日(土)の予定です。当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)。
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