「ニセコのバブル崩壊」が象徴、「世界に誇るすばらしい日本」の消失があらゆる場所で起きている

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まずは、北海道のニセコバブル崩壊である。この連載の流れ上、今回はこれを取り上げないといけない。

「バブルは悪である」と断定する理由とは?

なぜ、バブルは悪なのか。

それは、値上がりしている資産に群がるという金融市場の群衆行動が、さらに価格を押し上げ、その価格上昇がさらに群衆を集め、価格がさらに上がるからである。

なぜ価格が上がることは悪いのか。なぜ群衆は悪いのか。それは、もとの資産と無関係な人々が集まるからである。そして、もともとの資産と深くかかわっていた人々を追い出すからである。

その企業を創業から支えていた株主は、アクティビストにとって代わられる。アクティビストはその企業の持つ不動産、現金を吐き出させ、その企業の本来の事業には関心を持たず、現金リターンを今実現させ、抜け殻にして、企業を捨てて出ていく。

アクティビストほどではなくとも、多かれ少なかれ、起きていることは同じだ。企業に、今、儲かるビジネスモデルを提案し、はやりの組織改革を行い(例えば、選択と集中で今儲かる事業だけにしてしまう)、その事業、ビジネスモデルの流行が終わったときには、別のビジネスの種も継続的な事業も、アイデアをくれる顧客基盤もなくなっている。

冬のニセコ。標高1898メートルの羊蹄山を眺めながらのスキーは最高だ(写真:ホーリー/PIXTA)

ニセコは、素晴らしい雪質がスキーヤーたちに愛されたスキー場だった。日本では、もちろんよく知られていたのだが、海外では、まずオーストラリアなどの人々に発見され、ブームとなり、「世界一のスキー場がこの低価格で!」、と人気が急騰した。

最初は、スキーを愛する人々が殺到し、彼ら自身が土地を購入し、別荘を建てた。ここまでは、雪質という天然資源が金銭価格では過小評価されていたのが、是正された、ということで何の問題もない。

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