「忘れ物がないよう持ち物をチェック」はNG?恋愛関係の構築がうまくいかず、最終学歴も低い傾向…子供の「考える力」を奪う親の行動とは
このような思考力不足は世界的にも懸念されており、例えばアメリカで2023年に実施された企業調査では、新卒学生の批判的思考や複雑な問題解決スキルが十分に備わっていると考える企業は全体の約半数に留まったと報告されています 。
つまり、学校の勉強で知識を詰め込むだけでは不十分で、子ども自身が非認知能力である考え抜く力を育まなければ将来「活躍できない人」「成果を出せない人」になりかねないという不安が現実味を帯びているのです。
では、なぜ子どもの「考える力」は十分に育ちにくいのでしょうか。実は、家庭での親の関わり方が大きく影響しています。親や養育者が日々の子育てで無意識にとっている行動の中に、子どもの思考力を奪ってしまうNG行動が潜んでいるのです。
これまでFive Keysに入塾したての保護者から「子どもが自分で考えない。どうすればいいか」というような相談を数えきれないほど受けていましたが、ほぼ全員これから解説する親の行動が原因でしたので参考になさってください。
子どもの「考える力」を阻んでしまう親のNG行動には大きく分けて3種類あります。それぞれの行動が一見もたらすメリットと、長期的にもたらすデメリットを解説していきます。
NG行動1『すぐに答えを与えてしまう』
この行動の親にとってのメリットは、子どもが勉強や人間関係の問題などで「わからない!」と助けを求めてきたとき、親がすぐ「やり方」や「解き方」を教えてあげれば、当然問題解決へ大きく前進します。子どもが困っている様子を見るのは親にとってつらいものですから助けたい一心で答えを与える気持ちはよくわかります。
しかし子どもにとっての長期的デメリットについても認識しておかなければなりません。自力で試行錯誤する経験こそが思考力を鍛えるにもかかわらず、親がすぐ答えを教えてしまうと、子どもは「分からなければ大人に聞けばいい」と学習し、自分で考えたり、調べたりするプロセスを放棄してしまいます。
2014年にシンガポールETHセンター所長を務めるManu Kapur教授が高校生を対象に行った研究では、新しい数学の問題の解き方を教わる前に、自力で解こうと挑戦した生徒のほうが、最初から解き方を教わった生徒よりもその後の概念理解度や知識の応用力が有意に高かったと報告されています。
これは、たとえ途中で間違えたり遠回りしたりしたとしても、自分で頭を使って考えた経験が深い学びにつながることを示唆しています。ダラム大学のロバート・コー教授が「学習は人々が一生懸命考えなければならないときに起こる」と述べたように、子ども自身に「深く考えさせる」時間を与えることが何より大切なのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら