「忘れ物がないよう持ち物をチェック」はNG?恋愛関係の構築がうまくいかず、最終学歴も低い傾向…子供の「考える力」を奪う親の行動とは
自分で考えて答えを導き出す成功体験を積んだ子は「自分はできる」という自信がつき、次の課題にも主体的に挑戦する好循環が生まれますが、その機会を奪われた子は受け身の学習姿勢から抜け出せなくなる可能性があります。
目先の課題は片づいても、将来的に創造性や問題解決力に欠ける人材になってしまうリスクがある点で、この「すぐ答えを与える」行為は大きな問題と言えるでしょう。
NG行動2. 『過保護・過干渉』
親心から、子どもが失敗したり困ったりしないよう先回りして問題を取り除いてあげると、短期的には子どもが苦労や挫折を味わわずに済むというメリットがあります。
例えば忘れ物がないよう親が持ち物を全部チェックする、友達とのトラブルに即座に介入して解決策を与える、宿題に付き添って細かく手順を教えるといった関わり方は、その場では子どもがスムーズに物事を進められることは間違いありません。親自身も「放っておいて失敗させるより、自分が手を出したほうが早くて確実」と感じ、ストレスや不安が和らぐかもしれません。
しかしこのような過保護・過干渉な子育ては、子どもの自己管理能力や問題解決能力の発達を妨げると研究で示唆されています。
2021年にスタンフォード大学のイェレナ・オブラドヴィッチ教授らが4~6歳の子どもとその親、102組を対象に行った研究では、子どもが集中して遊んだり課題に取り組んでいる最中に親が頻繁に口出し・指示をする家庭の子ほど、その後の自分の感情や行動を調整する自己制御レベルが低く、我慢する力などを測る実行機能テストの成績も低いことが報告されています。
さらに長期的に見ると、過保護・過干渉に育てられた子どもは思春期以降に自立や意思決定に課題を抱えやすくなります。
2020年にバージニア大学の心理学者エミリー・ローブ氏らが13歳から32歳まで184人を追跡した縦断研究では、13歳時に親から心理的に過度にコントロールされる育てられ方をしていた子どもほど、成人後に恋愛関係の構築がうまくいかず、32歳時点で学業の達成度(最終学歴)も低い傾向が明らかになりました。
親が手取り足取り何でも決めてくれる環境に慣れた子は、いざ親の管理下から離れると自分で考えて行動することに不安を覚え、重要な場面でも決断できなかったり、逆に抑圧への反動で突飛な問題行動に走ったりする恐れすらあります。短期的な安心と引き換えに、子どもの将来的な適応力・自立心を奪ってしまう点で「過保護・過干渉」も大きな問題行動です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら